黒ギャルから秋葉原のメイドを経てAV業界に飛び込んだかさいあみさん。デビュー後に彼女を待っていたのは、「自分は売れる女優ではない」という早々の気づきだった。

 熾烈な競争社会を「何でも屋」として10年間サバイブした彼女が見つけた、仕事への向き合い方、そして、引退を決意した“本当の理由”を聞く。

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やっぱり「怖い世界」というイメージはありました

――前回は、黒ギャルだった福岡時代から秋葉原のメイドになり、憧れのAV女優・紅音ほたるさんを追いかけて業界へ飛び込むまでのお話を伺いました。実際にデビューしてみて、いかがでしたか?

かさいあみ(以下、かさい) 正直、最初は緊張しましたよ。やっぱり「怖い世界」というイメージはありましたから。実際、現場に入ってみると、メイク室で泣いていた女の子の話を聞くこともありました。半分くらいは、本心から望んで来ているわけじゃない子だったのが現実だったと思います。

 でも、私自身は少し感覚が違っていて。

かさいあみさん

――感覚が違うといいますと?

かさい まず、撮影現場が拍子抜けするくらい「仕事」だったんですよね。男優さんもスタッフさんも、みんなテキパキ動いていて。私の裸を見ても、誰もいやらしい目で見てこない。「この子を抱いてやろう」みたいな邪念がなくて、全員で「今日この作品を作り上げるぞ!」と、職人集団みたいな熱量を持っていて。

 だから、「あ、ここはクリエイティブな現場なんだ」って思えて、すごく居心地が良かった。真面目にエロを作っている大人たちって、ちょっと変わった人が多いんですけど、私はそういう人たちのことが大好きになっちゃったんですよね。