「遺伝してしまったのかな、私がもっとちゃんとしていれば…」
――診断のきっかけは何だったんですか?
かさい 保育園の運動会でした。みんなが「ジャンボリミッキー」を踊っている中で、うちの子だけ全く違う動きをしていたんです。他にもみんなが「気をつけ」をしているとき、急に地面に這いつくばったり、一箇所にとどまって前のお友達の靴のかかとをずっとむしってたり。
先生に相談したら「一度検査を受けてみては」と言われて。知能検査を受けたら、その場で「自閉傾向があります」と診断されました。
――その時、どう感じましたか?
かさい 正直、ショックでした。それ以上に、「私のせいなんじゃないか」って自分を責めました。私自身もADHD(注意欠如・多動症)の傾向があるので、「遺伝してしまったのかな、私がもっとちゃんとしていれば……」って。
これからのことを考えると不安でいっぱいにもなりました。普通の小学校のクラスに入れるのか、勉強についていけるのか、将来一人で生きていけるのか。まだひらがなも書けないし、数字もわからない。この子の人生の選択肢を、親である私がどう広げてあげられるんだろうって、毎日のように悩んでいるところです。
――その不安とは、どう向き合っていますか?
かさい 公にしていないX(旧Twitter)のアカウントで悩みを吐き出したり。裏垢と呼ばれる自身の育児アカウントで泣きながらスペース(配信)したりしていました。たくさんの先輩ママのファンや、同じ境遇の人たちから連絡をもらって救われています。持つべきものはファンです。
それに、私の周りには個性的な大人がいっぱいいるんですよ。ミュージシャンの知り合いが「うちのバンドメンバーも自閉症だけど、すごい才能あるよ」って言ってくれたり。「野球選手になりたかったら俺に言って」「絵を描くなら俺が教えるよ」「漫画は私が」って言ってくれる仲間たちがいる。
それもあって最近は、「無理に普通に当てはめようとしなくていいのかな」って思えるようになりました。彼が虫が好きならとことん虫を捕まえに行けばいいし、魚が好きなら一緒に釣りをすればいい。
――愛情の深さが感じられます。
かさい どうですかね(笑)。でも、子供を産んでから「慈愛」みたいな感情が芽生えたのは確かです。
今の目標は、彼が毎日笑って過ごせること。そして、何か一つでも「これが好きだ!」と思えることを見つけてあげること。それができれば、父親がいなくても、少し人とは違っても、きっと幸せになれると信じています。
――続いては、そんな子育てと並行して取り組んでいる、引退後の新たな挑戦について伺います。AV新法の問題や、AI技術による権利侵害など、現代の社会問題に切り込む活動もされていますよね。
かさい はい。絶対に知ってほしい話があります。怒りを込めて語ります。
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