それだけでなく、2位の兵庫県、5位の和歌山県、7位の愛媛県など、上位には比較的暖かい県がランクインしています。

反対に少ないのは、寒い青森県が44位、北海道が46位です。寒いからといって入浴中のCPA発生件数が多くなるわけではないことがよくわかります。

むしろ、寒い地域では高気密・高断熱住宅が普及していて、家の中の温度差がほぼないために、ヒートショックが少なくなります。

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つまり気候がどうであれ、家の性能が高く快適に過ごせる環境ならば、ムダに命を落とさなくても済むのです。

ちなみに、2017年1月25日付、消費者庁のプレスリリースでは、「ヒートショック」等により亡くなっている方は、約19,000人/年と推定されています。一方、2024年の全国の交通事故死者数は2,663人にとどまっています。

この数字から、ヒートショックによる年間の死者数が交通事故死者の7倍以上にも上っていることがわかります。

救急搬送されても、もちろん、命を取りとめている方もたくさんいます。ですが、半身不随等の後遺症を残して健康寿命を縮めている方も多く、死亡者数の19,000人/年の2~3倍にも上るとも言われています。これは、増大する社会保障費負担の一因にもなっています。

「脱衣所の室温」が健康寿命を左右する

「平均寿命」が長い日本ですが、日本の「健康寿命」は残念なことに他の国と比較して突出して長いわけではありません。これが意味することは、「不健康な状態で生きる年月が長い」ということです。

なんと日本の女性は、亡くなるまでに平均で12.7年もの長い間、不健康な状態で生活しています。干支がひと回りするほどの年月は、かなりの長さではありませんか?

健康寿命を延ばすことを考えた時、参考になる調査結果があります。それは、慶應義塾大学伊香賀名誉教授らによる冬季の住宅内温熱環境が要介護状態に及ぼす影響の実態調査です。

脱衣所の平均室温で、「温暖住宅群」(14.6℃)と「寒冷住宅群」(12.4℃)に分け、要介護状態になる人が50%を超える年齢を比較しています。