経済学者・成田悠輔さんがゲストと「聞かれちゃいけない話」をする連載。今回のゲストは、3月11日にニューアルバム『禁じ手』が発売となる椎名林檎さんです。(構成・伊藤秀倫)

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素直に「一番誇れること」は?

 成田 黒くない、素直に一番誇れる歴史ってありますか?

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 椎名 最近、何か思ったんだけどな、これはプラウドしよう、と。ああ、忘れちゃったな。メモしておかないとダメですね。

 もうちょっと漠としたことでよろしければ、自分が10代の頃からのお客さんのお嬢さんが大きくなって、親子で一緒にライブに来てくださるようになったことは、本当にやっててよかったと思った出来事です。

3月にニューアルバムが発売となる椎名林檎さん ©文藝春秋

 成田 2世代、そろそろ3世代になりはじめるかも。

 椎名 それ、すごいですね。うれしいです。

 成田 ご自分の音楽を長く残すとか、長く残るかどうかってやっぱり意識されますか?

 椎名 結果的にそうかもな、とは今、思いました。というのも例えば100年前ぐらいの人が私の音楽を聴いた時に、違和感なく“自分たちの時代の音楽”としてとらえてくれるようなものを書こうと意識することはあって。それは100年後についてもやっぱりちょっと欲があるということかもしれない。でも、考えていないつもりでした。

 成田 歌詞もちょっとアナクロな、時代錯誤っぽい言葉遣いをあえてされますよね。

成田悠輔さん ©文藝春秋

 椎名 そうですね。なるべく語源に近い用法にしておきたい時はあります。曲によってですが。

 成田 過去に遡ることで、未来が伸びるとか。

 椎名 かもな、って今思いました。それを期待しているのかも。年代不詳というか、後の時代の人に私の音楽を掘り起こしてもらったときに、いつのものだか分からなくしたいと考えていたから。いつの時代のものか、鑑定する人もちょっと迷うみたいな。