息子の暴力性について母親に質問すると…

「息子さんのなかの暴力的な行為というのは、どこに原因があったのでしょうか? なぜあんなことをしたと思いますか?」

 Bひとりだったらあんな酷いことはできなかったのではないかと母親は前置きしたうえで、言葉を続ける。

「うちは犬を飼っています。犬は一生懸命にかわいがります。だけど、私が入っていくと、ぱっと離すんです。すごいかわいがるんですけど……」

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「どうして離すんですか?」

「たぶん、そんなに、自分を見せたくないんじゃないですか? かわいがっている自分の優しさを見せたくないと、私は思いましたけどね。犬も懐いていましたしね。いつでも自分は強がって見せたい。ともなってないんですけど。親のいい見方をしているのかもしれないですけど」

 母親なりの認識なのかもしれないが、自分を強く見せたがる性格が暴力性の説明になっているとは言いがたかった。

 母親はインタビューの冒頭で話したエピソードに再び触れた。

「1988年の暮れ、Cのお母さんがうちに見えて『何か起こりそうだ、何か起こりそうです』と言われたんです。でも私がお宅に行って入ることはできませんから、『警察に行ってください』と言ったんです。それは当然ですよね」

監禁現場となったCの自宅(当時)周辺 著者撮影

「そのときCの家に息子さんが出入りしているのは聞いているんですか?」

「はい」

「Cの母親は何と言っていましたか?」

「それに対しては、何も言っていないけど、あちらはご両親そろっているから、旦那さんがいて、旦那さんが判断してやってくださるものだと思っていました」

 足立区綾瀬のCの自宅2階にX子さんは監禁されていた。Cの母親は自宅にいる彼女を11月末と12月初旬に計3回目撃し、「自宅に帰りなさい」と直接話しかけていた。2回目にはX子さんとCとDの3人に食事を用意した。3回目にはX子さんのカバンのなかからアドレス帳を取り出し、彼女の自宅に電話までかけている。だが偽名を使い、彼女の特徴について簡単な問い合わせをしただけですぐに電話を切っている。警察に通報もしていない。

 Bの母親がCの母親から女性の存在について聞かされたのは、記憶では12月下旬だという。

「被害者の女性がCの自宅にいるという話は?」

「その話は聞いていました。そのときに。『1回帰したんですけど、また戻ってきてます』と。で、なんか起こりそうなんですけど、と。だから私としては、責任逃れの言い方かもしれないけど……」

 Cの両親がきちんと対応すれば、事件は防げたと母親は考えていた。しかしそれは自身も認めるように、責任逃れの主張だ。インタビューを開始してから1時間が経とうとしていたが、まだ聞きたいことの核心に至るまでは遠かった。

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