廃墟化のリスクは高くないように見えるワケ

 だが見方を変えてみると、中古価格の安さは別として、このタワマンで暮らす住民たちの生活満足度は意外と高そうに見える。雪国では不可避のはずだった「雪かき」や「高い光熱費」を避けられ、自動車さえあれば基本的に生活には困らない。周辺からは絶対に妨害されずに蔵王連峰や山形盆地を一望できる景観。これから確実に必要となる大規模修繕に十分対応できるかの問題はあるにせよ、廃墟化のリスクは高くないように見えるのだ。

写真はイメージ ©sakai000/イメージマート

 いっぽうで市の窮状は今後も深刻化するばかりであることも窺える。ならばいっそのこといささか暴論ではあるが、過疎地域に指定された上山市は、タワマンの街を目指してみてはどうだろうか。スカイタワーには700人ほどが居住しているとされるが、たとえば10棟のタワマンがあれば、約7000人、市の人口の4分の1が集住できる。これから老朽化する上下水道、ガス、電気などの社会インフラの維持にかかるコストを考えれば、コンパクト化の効果は極めて高いはずだ。

高齢化社会で暮らす効用価値を

 タワマンの低層部には商業施設のみならず、公共施設、役所機能を設ければタワマン街の中だけで日々の生活が完結する。特に気候の厳しい冬場などは快適そのものの生活を営めるのではないか。雪国の高齢者にとってタワマン住まいは、かなり快適度の高い住まいであるから、福祉的な観点からもおすすめできる。高齢者の住まいのモデル都市として振興計画に盛り込んでみてはどうだろう。

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 国や県などの支援を得て、さてデベロッパーに声掛けしよう。だがこの途方もないタワマンを建設してくれた山万アーバンフロント社はもはや存在しない。はたして手を挙げてくれる奇特なデベロッパーはいるだろうか。カネだけの価値では測れない、高齢化社会で暮らす効用価値を期待できる新たなタワマンをぜひ実現してもらいたいものだ。

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