恋愛や性行為を伴わず、相互扶助などを目的とする結婚の形、「友情結婚」が少しずつ広がっている。中には子どもを育てている夫婦もおり、たびたびメディアへの出演を行っている40代男性のカイトさんと30代女性のメイコさん(ともに仮名)も、そんな夫婦の一つだ。カイトさんはゲイ、メイコさんは他人に対する性的欲求をほとんど持たないアセクシャルを自認する。

「カイトとメイコ」名義で、Xやnoteで自身の結婚観や生活をつづっている2人が結婚にいたったなれそめから、恋愛感情のない結婚生活や子育て、両親との関係まで知られざる友情結婚のリアルを聞いた。(全3回の1回目/続きを読む

お互い30代で友情結婚したメイコさん(左)とカイトさん(共に仮名、写真提供=本人、以下同)

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「人とは違う」自分の性的指向を意識したきっかけ

――自身の「性的指向」を意識されたのは、いつ頃だったのですか。

カイトさん(以下、カイト) 「人とは違う」と気付いたのは、中学生の頃です。恋愛感情を抱く対象は女の子が多かったのですが、性的な欲求を持つ対象は男の子でした。当初は男女の両方に魅力を感じるバイセクシャルなのかなと考えていたのですが、女の子に性的欲求を持たないことを考えていくと「自分はゲイなのかもしれない」と。

 漠然とそう思いながら生きてきたのですが、最近になって、それが「クロス・オリエンテーション」と呼ばれるのだと知りました。恋愛対象と性的対象が異なる指向で、ゲイかつクロス・オリエンテーションというのが近いのかなと考えています。

メイコさん(以下、メイコ) 私も性的指向に気付くようになったのは、中学生時代でした。仲が良かった同性の友だちに恋愛感情のようなものを抱いたんです。同性と初めてお付き合いしたのは高校生のときで、部活の後輩と恋人関係になって。そこで、自分はどちらかというとレズビアンなのかもしれないと認識するようになりました。

 過去に知識が豊富な男性に惹かれたことはあるんですが、性的欲求は湧かなくて……。私が性的欲求を抱くのは、深い信頼関係を築いた相手だけなんです。こうした性的指向は「デミセクシャル」と呼ばれます。

 なので、私の場合は「レズビアン寄りのデミセクシャル」というのが正確かなぁと。とはいえ、ここ十数年は深いつながりを築いた女性がいないので、性的指向を自覚する場面がなくて、今は、他者に対して性的欲求を抱かない「アセクシャル」と言えるかなと思います。

長女を抱くメイコさん。「もう恋愛はしなくていいかな」と彼女は言う

――デミセクシャルやクロス・オリエンテーションという性的指向を知らない人も多いかもしれません。周囲の人に自身の性的指向を伝えることは?

メイコ 10年以上の付き合いがある大学の友人とか、ごく親しい間柄の数人には伝えましたね。「結婚したんだけど、実はね……」と日常会話の流れで、サラッと話しました。

カイト 雰囲気で察知されたのか、姉には「男の人が好きなんじゃない?」と聞かれたので、正直に伝えました。秘密を漏らすような人じゃないので。ただ、秘密を守る責任が発生してしまうので、今後も継続して付き合う人には話さないようにしています。ちなみに弟もいますが、彼には話していません。