高羽さんは妻が殺害されたアパートを借り続け、現場を「保存」してきた。事件発生当初なぜかほとんど取材に来なかったメディアに関心を持ってもらい、報道してほしいという思いもあったという。26年間に支払った家賃の総額は2200万円を超えていた。まさに「執念」だった。結果的に、高羽さんが借り続けたその部屋で、逮捕翌日の現場検証が行われたのである。
VTRに登場した刑事が語ったこと
安福容疑者は、警察からの複数回にわたるDNAの提出要請を拒んでいたが、10月に入ってから要請に応じ、逮捕の前日(10月30日)になって警察署に出頭した。
捜査の指揮をとっていたのは、未解決事件を専門に扱う「特命捜査係」に去年異動してきた刑事だった。容疑者逮捕前に取材し11月1日に放送した番組では、みずからTVカメラの前に立ち、奈美子さんが殺害されたときの室内の状況や犯人の逃走経路について詳しく説明した。「ご主人の悟さんが現場のアパートを借り続けてきてくれた。被害者の無念を晴らす意味でも、この事件に本気で向き合いたい」と捜査にかける強い思いを語っていた。彼が私たちの取材を受けていたその裏で、警察がすでに複数回、容疑者にDNAの提出を求めていたとは、当時まだ知る由もなかった。
容疑者は高羽さんと高校の同級生で、同じ部活に所属していた。高羽さんに好意を持っていたといい、バレンタインデーにチョコレートを渡したこともあるという。事件の5か月前、ふたりは部活の同窓会で久々に会い、高羽さんは同級生の前で近況を報告していた。
「11歳年下の女の子と結婚して、もうすぐ2歳になる子供がいると話したみたい。安福から話しかけてきたと思うんですけど自分も結婚して、バリバリ仕事も家事もしながら頑張っているというようなことを言っていた。その時も何もなかったし、20代のころから連絡も取っていないので全然頭の中になかった。逮捕されたのが安福だと聞き、まさかと思いました」(高羽悟さん)
警察によると安福容疑者は事件当時、高羽さんのアパートから10キロほど離れた名古屋市内のマンションで夫や子どもと一緒に暮らしていた。





