2001年、新宿歌舞伎町の雑居ビルで火災が発生。44人が亡くなった。警視庁は放火の疑いがあるとみて捜査したが、今も犯人は特定されてない。未曾有の大火災から25年となる中、NHK総合テレビで夜10時から放送中の「未解決事件」File.13では「新宿歌舞伎町ビル火災」に迫った(2月28日放送)。

 取材班は、火災後のビル内部の映像を入手。当時、現場に入った消防隊員や火災学者、事件を追った捜査員たちから様々な証言を得ることができたという。事件の捜査を阻んだものは何だったのか。(取材・文:NHK「未解決事件」取材班/全2回の2回目、前編から続く)

放火犯は今も特定されていない(写真はイメージ) ©NHK

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謎に包まれた出火原因

 夢を追いかけ働いていた若者や、たまたま仕事の息抜きに遊びに来ていた社会人など、44人もの命を奪い、戦後の火災史に刻まれた歌舞伎町ビル火災。しかし、これだけ多くの犠牲を出しながら、その出火原因はいまだ特定されていない。私たちは、当時の捜査幹部や出火原因の究明にあたった関係者をリストアップし、話を聞くことにした。

 しかし、事件から25年という歳月が私たちの前に立ちはだかった。事件当時の捜査一課長や、捜査の核心を知るとみられた幹部や刑事たちはすでに亡くなっていた。ようやく居所を探し当て、話を聞きに行っても、高齢で体調を崩していて話をできる状態ではない、という方も少なくなかった。

 それでも、複数の捜査関係者が断片的な記憶を掘り起こし、取材に応じてくれた。

「あの事件は難しかった……」