DeNA創業者の南場智子氏と、日本サッカー協会(JFA)会長の宮本恒靖氏が対談。人材育成からリーダーシップまで組織論を語り合った(取材・構成 二宮寿朗・スポーツライター)。
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〈IT大手・DeNAの創業者で、横浜DeNAベイスターズオーナーの南場智子氏(63)は、地域密着のファンサービスで球団の黒字化に成功、人気球団に育て上げた。バスケットボールとサッカーのプロチームも運営する「DeNAスポーツグループ」を展開する。
サッカー日本代表のキャプテンとして活躍した宮本恒靖氏(48)は、2024年からワールドカップ出場経験者として初めてJFA会長を務める。日本代表が出場を決めている北中米ワールドカップ開幕も26年6月に迫る。
スポーツ界をリードする2人が、リーダーのあり方からスポーツの可能性までを語り合った。〉
良い人材は外に出す
宮本 南場さんにお会いする前に過去のインタビュー記事も読ませていただきました。そのなかで「ザクロをひっくり返す」という考え方は実に素晴らしくて、面白いな、と。良い人材を会社でキープするのではなく、実の詰まったザクロをひっくり返すように、外に出ていくことを支援していく。タレントを外で活躍させていくことが、業界全体の発展や利益に繋がるんですね。
南場 会社が人材を抱え込むのはよくない。事業や人をむき出して、ライバルとも本気で共存共栄していくべきだと思います。
宮本 「一人ひとりの強みを活かす」というお話もされていましたが、僕もJFAの会長として同じような思いを持っています。トップダウンではなく、リーダーが支援する側に立つ「サーバントリーダーシップ」でありたい。南場さんは、リーダーとしてどのような組織を目指してきたんですか。
南場 起業家タイプが多いDeNAは、プロが集まる組織という点でJFAと似ているかもしれませんね。DeNAも、上意下達の右向け右ではなくて、現場がその場その場で考えられる組織を目指しています。想定外のことが起こって上の指示を待っていたら時間を失ってしまう。何を目指しているのかみんなで共有できていたら、究極は現場で意思決定したほうが早いし、何より強い。優秀な人材が想定外を楽しんで一生懸命にやれば、エネルギーレベルも引き上がりますしね。

