三笠宮家の彬子さま(44)が上梓されたエッセイ集『飼い犬に腹を噛まれる』(PHP研究所)が話題だ。発行部数は、12月15日時点で5刷11万部。イギリス留学時代の出来事を綴った『赤と青のガウン オックスフォード留学記』(PHP文庫)に続くベストセラーとなった。
今回、取材に応じられた彬子さまは、グレーのテーラードジャケットの胸に“お印”の雪を連想させる雪だるまのブローチを付けてご登場。100分間にわたって、ご近況やライフワーク、ご家族への思いなどを語られた。
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新著にはたくさんの反響をいただき、大変ありがたく思っています。漫画家のほしよりこさんが挿絵を担当してくださったのですが、参考写真や私の話をもとに、一編ごとに素敵な挿絵を描いてくださいました。さらに嬉しかったのは、読書好きの芸人さんが様々な本を紹介している配信番組の中で取り上げてくださったこと。これまで出してきた本のエッセンスが詰まっているから「彬子女王の入門編」として読むとよいと言っていただき、嬉しかったです。
飼い犬の名前は「左馬助」といいます。「左馬助」は官位でいうと正六位下にあたり、ちょっと高貴な名前かと。官位のある犬も面白いかと思いまして、官位相当表からよさそうなものを選びました。
私は犬が大好きなのですが、犬アレルギーがあって一緒には暮らせないため、普段は京都にいる“自称・乳母”の友人宅で飼ってもらっていたんです。それでも会いに行けば、私のことを主人と認識してくれているようで、私の言うことはわりと聞いてくれる。主人と一緒で、左馬助自身にも犬アレルギーがあるようで、自分の毛でくしゃみをしちゃうような、おかしくて可愛い子でした。
ですが、実は、左馬助は本が出た後の10月26日に亡くなりまして……。11歳でした。人間なら60歳くらいでしょうか。
私は10月19日と20日に公務で鳥取県を訪問したのですが、その際は左馬助も一緒でした。その時から食欲があまりなくて。でも、恋煩いでご飯を食べなかったりする子だし、移動の疲れもあったのかなと思ったのですが、その後も食欲は戻らなかった。病院で診てもらったところ、心臓が肥大し、腹水も溜まっていることが分かりました。
もう危ないかもしれないと聞き、エジプト訪問を控えた10月末、時間を作って京都に会いに行ったんです。薬が効いたようで、悪かった数値もよくなり、ササミなんかもバクバクと食べ、一緒に散歩することもできました。私はてっきり、もう良くなるんだなと思ったんです。それで「エジプト土産を買ってくるね」と言って別れました。息を引き取ったのは、その数時間後のことでした。
しばらくはショックで気持ちがついていきませんでした。でも、鳥取訪問で砂丘を一緒に歩いてくれたのも、亡くなる間際まで元気な姿を見せてくれたのも、きっと、最後にいいところを見せようとしたんだと思うんです。本の表紙にも描かれ、情報番組で取り上げていただいてテレビデビューまで果たした。ずいぶん大きな功績を残して虹の橋を渡っていきました。
《この続きでは、三笠宮家当主となられた今のお気持ち、父・寬仁親王や祖母・百合子さまとの思い出、三笠宮の伝記『三笠宮崇仁親王』刊行の裏話、「オールナイトニッポン」で御蔵入りとなった警衛さんの話などについても語られている。インタビュー記事は12月23日(木)発売の「週刊文春」で、約10000字に及ぶインタビュー完全版は「週刊文春 電子版」で読むことができる》



