女教師の甘い言葉に誘われ、15歳の少年たちは“たった500ドル”で殺人に手を染めた。夫殺害は完全犯罪になるはずだったが、ひとつの致命的なミスがすべてを崩す。全米を震撼させた裁判の行方と、少年たち、そして首謀者の女教師に下された判決とは――。文庫『世界の殺人カップル』(鉄人社)より、その後の顛末を一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/最初から読む

写真はイメージ ©getty

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殺人の報酬額はたった500ドル

 彼らが手を貸す気になったのは、報酬として1人500ドル(約5万4千円)がもらえるという約束があったからだ。これはビリーから計画を聞かされたパメラが提示した金額である。殺害の報酬としては、あまりに安すぎるが、実際にバンスとパトリックはわずかな金欲しさに犯行に関与した。

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 1990年5月1日夕方、3人は覆面姿で、バンスが父親から勝手に持ち出した銃を手にスマート家に侵入。

 まず、室内を荒らしたうえで金品を奪い強盗を偽装する。ほどなく帰宅したグレッグは覆面を被った3人組を見て仰天。一目散に逃げようとするも、あえなく捕まりビリーによって撃ち殺される。犯行を終えた彼らはすぐに家から退散。それから1時間ほど後にパメラが帰宅し悲鳴を上げたというわけだ。

 1ヶ月後、3人が逮捕されてもパメラは安心しきっていた。自分にぞっこんで、その関係を終わらせたくないビリーが本当のことを言うわけがないと信じていたからだ。狙いどおり、彼は口を割らなかった。もとより、バンスとパトリックは、自分が殺人をそそのかしたことなど知らない。ビリーを利用した夫殺害は完全に成功したかに思えた。

 が、パメラは致命的なミスを犯していた。