全米を震撼させた「クリスマスの惨劇」から29年。美少女コンテストで優勝を重ねていたセレブ少女のジョンベネ・ラムジーは、なぜ自宅の地下室で帰らぬ人となったのか。
いまだ野放しにされている犯人、そして錯綜する疑惑の数々――。父親のジョンや私立調査員のロスコー・クラーク氏の証言をもとに、世界最大の未解決事件の“いま”を紐解く。(全2回中の2回目/はじめから読む)
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身代金と借金額が「11万8000ドルで完全一致」
ジョンベネの遺体が発見される前、ジョンの妻パッツィーがキッチンの階段に置かれていたのを発見した、犯人からの脅迫状。そこには、“11万8000ドルの身代金と引き換えにジョンベネの身柄を引き渡す。警察に通報すればジョンベネを殺す”と記されていた。
2022年に書いた拙記事で詳述したが、クラーク氏の調査によると、“11万8000ドル”という金額は、当時、ラムジー家の向かいにあるバーンヒル家の地下室に住んでいた、グレン・メイヤーという男が抱えていた負債額と全く同額だった。しかも、当時、バーンヒル家の家主ジョー・バーンヒルの息子が家屋改善のために借り受けていたローンもまた11万8000ドルだった。
これは偶然とは言えないとクラーク氏は確信し、メイヤーとバーンヒル家に関わりのある人々が共謀して、身代金を得るためにジョンベネを誘拐する計画を立てたのではないかとみている。
また、ラムジー夫妻は外出する際、ジョンベネとその兄バークをバーンヒル家に預けてベビーシッティングしてもらうこともあり、同家の人々はラムジー家の裕福なライフ・スタイルを熟知していたという。
疑惑を排除できないバーンヒル家の関わり
クラーク氏は、クリスマスの夜、ラムジー家の近くで行われていたドラッグ・パーティーに参加していたジョー・バーンヒルの男孫、女孫、女孫の元夫の3人が、パーティーを抜け出してラムジー家に侵入し、身代金目的でジョンベネを自宅の地下室に監禁したものの、脅迫状を見つけた母パッツィーが警察に通報したことから、ジョンベネを殺害したのではないかと推理している。
ちなみに、これらの人物の中でメイヤー(2005年に他界)は、事件後、出身地のインディアナ州に戻っているが、そこで居住していた彼のアパートの壁は、床から天井まで、何十ものジョンベネ事件に関する記事で飾られており、まるでジョンベネを祀る神殿のようだったという。
また、男孫は自殺している。DNA鑑定の結果、“ジョンベネの下着から見つかったDNAが、ジョーか彼の親族のDNAである可能性は排除できない”とする鑑定結果が出て、それをタブロイド紙が報じたことが自殺の背景にあるのではないかとクラーク氏は推測している。




