重要参考人の親族からDNAを採取
ジョンが近年注目されているIGG(調査的遺伝子系譜学)をベースにしたDNA調査で犯人が特定できる可能性があると訴えていることは前編で述べたが、クラーク氏とともに調査を行っているデレク・ブロンメリッチ氏もまた、重要参考人と考えている人物の親族のDNA情報を辿ることで犯人を特定できるのではないかと考え、彼らの親族のDNAを採取する活動をしている。
両氏は、女性の親からのみ受け継がれるミトコンドリアDNAに着目している。そのミトコンドリアDNAを犯行現場から採取されたミトコンドリアDNAと照合し、両者が一致すれば、家系的にその女性と繋がる人物が犯人の可能性があるという。両氏は、昨年、彼らが重要参考人と考える人物と家系的に繋がっている女性からミトコンドリアDNAを採取し、鑑定結果を得て、ボールダー警察に提出した。
そして今年、両氏はDNA検査を次のレベルに進めた。ブロンメリッチ氏はそれについてこう話す。
「現在、全ゲノムシーケンス(WGS)を実施してもらっている。これは、個人のゲノムを完全解析するために、約30億もの構成要素をすべて読み取るという方法だ。2000年には、この検査には約3億ドルの費用がかかったが、技術の進歩により、現在では約300ドルで可能になった。これは、遠い祖先を割り出すことも可能になる徹底的な検査だ。
この検査をすべく、現在、ジョンベネを殺害したと我々が考えている人物の血縁者からゲノムサンプルの収集をしている。ボールダー警察が、犯行現場に残されていた証拠品から採取したゲノムサンプルの全ゲノムシーケンスを実施し、その検査結果が私たちが血縁者から採取したゲノムサンプルの検査結果と一致すれば、犯人を特定できる可能性がある」
また、両氏は、重要参考人と考えている人物が吸ったキャメルのタバコの吸い殻から採取したゲノムサンプルの全ゲノムシーケンスも行い、その検査結果もボールダー警察やFBIに送る予定だ。
29年目に判明した新事実
ブロンメリッチ氏は、調査の結果、新たな発見をしている。それは、ボールダー警察が、ジョー・バーンヒルに報道機関の取材に応じないよう口止めしていたということだ。
「警察が犯罪を解決する方法の一つに行動分析がある。多くの場合、犯罪発生後、その犯罪に詳しい人物や犯罪に関与した人物は、自身への注目を逸らすために報道機関に対して頻繁に発言する傾向がある。
殺人事件発生後の1週間、ジョー・バーンヒルほど報道機関に多く発言した人物はいなかった。ところが、ジョーは、ある時点から、報道機関への発言を止めた。報道機関にその理由を聞かれたジョーは、ラムジー家から警察を通じて口止めを要請されたと答えている。
その真偽についてジョン・ラムジー氏に尋ねたところ、彼は警察にそんな要請をしていないと答えた。つまり、警察が、ジョーに報道機関に発言しないよう要請したのだ。ジョーは報道機関に、事件当日はボールダーにはいなかったジョンの息子アンドリューを目撃したといった不審な発言をしていたので、それを止めさせるためだろう」


