ここ10年の年末年始渋滞における最長の渋滞は…

 当時から30年が経ち、今ではカーナビはもちろんスマホも普及したことで、行く先の混雑状況をリアルタイムに把握できるようになった。ETCによって料金所渋滞は解消し、さらに高速道路網は30年前と比べて約2倍の総延長にまで拡大。混雑が分散し、かつてほどの大渋滞は見られなくなっている。

 ちなみにここ10年の年末年始渋滞において、最長の渋滞は60km。2022年1月2日、神戸淡路鳴門自動車道の上り線で生じた渋滞である。迂回路のない「島からの一本道」という地理的条件に加え、玉突き事故や故障車による混雑が重なり、本州へ向かう車列が完全にスタックした。

 当時のSNS上には「淡路島を脱出するのに4時間以上かかった」といった声のほか、サービスエリアにおけるトイレ混雑やコンビニの品切れを嘆く投稿が多く見られた。「60km」という数字以上に、逃げ場のない海の上で長時間拘束されるストレスは計り知れないものだったはずだ。

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写真はイメージ ©AFLO

「渋滞は昔よりマシになった」と思いきや…

 もちろん、この神戸淡路鳴門道における渋滞は相当にイレギュラーな数値である。近年のNEXCO各社のデータを見ると、年末年始シーズンにおけるワースト渋滞長は例年40km台に収まっている。

 このように、現在ではかつてのような「100km超」の渋滞に出くわす可能性は限りなく低くなり、長距離移動の負担はかなり軽減された――かに思えるが、実はそう単純な話でもない。

 NEXCO東日本の発表によると、「渋滞損失時間」、つまり「渋滞に巻き込まれたことで人々がロスした時間の総量」は、近年増加傾向にある。2018年にはETC普及以前のワースト記録である1997年の数値を更新し、コロナ禍明けの2023年、2024年と、立て続けに過去最高値を塗り替えているのだ。

 現状のところ、道路網の拡充というインフラ面の対策だけでは、増え続ける交通量を吸収しきれていないのが実情なのかもしれない。東名や中央道などの主要な渋滞ポイントでは車線拡幅工事なども順次進められているものの、今のところは渋滞箇所がズレていくばかりで、劇的な効果は得られていない。

 ともあれ我々ドライバーにできることは、混雑のピークを避けつつ、無駄なブレーキを減らし「渋滞の種」を作らない運転を心がけることくらいだろうか。

 あるいは昨今の著しい物価高騰の渦中にいる消費者としては、「これじゃ旅行にも行っていられない」という気持ちにもなってくる。渋滞に対するもっとも効果的な対策が、そのように後ろ向きな変化によってもたらされるのではないことを願うばかりだ。

次の記事に続く 《ご存知ですか?》隙あらば車線変更、右車線居座り…先を急ぐドライバーが“渋滞の元凶”に? 焦る人ほどハマりやすい「渋滞の落とし穴」