「前に入られたら遅くなる」という直感

 道路が混雑してくると、前走車との車間をあえて詰め、他車の割り込みをブロックしようとするドライバーがいる。「前に入られたら遅くなる」という直感からくる行動かもしれないが、これも「ブレーキの連鎖」という点からいえば悪手である。

 前に入られまいと車間を詰めることで、前の車の些細な減速に合わせて頻繁にブレーキを踏むことになり、それが後続車のブレーキを引き起こすことになる。個々のドライバーによる慌ただしい加減速が後方に波及し、流れを滞留させていく。

 反対に、「十分な車間距離」が渋滞の緩和に効果的であることを示しているのが、東京大学の西成活裕教授による研究だ。西成氏の研究室と警察庁、JAFが中央道で実施した合同実験では、速度と車間距離を一定に保つ「渋滞吸収車」を渋滞最後尾付近に8台投入したところ、後続車の平均速度が渋滞前の水準まで回復したという。

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 車間を広めに取っていれば、前の車が減速してもアクセルオフなどの緩やかな操作で対応でき、後続車にブレーキを踏ませずに済む。自分が「クッション」の役割を果たすことで、渋滞を予防・緩和できるというわけだ。

「合流車のブロック」も混乱につながる

 もうひとつ、合流ポイントで本線を進んでいるときにも、合流してくる車をブロックするのはNGである。渋滞時の合流においてもっとも効率的な方法は「ファスナー合流」とされており、これは「合流車線の一番先で一台ずつ交互に合流していく」という形式だ。

 これを「ズルい」とブロックしてしまうと、合流側の後続車が「先のポイントでは入れてもらえないかも」と、車線の手前の方からバラバラに合流していくことになる。

 こうなると、本線を進むドライバー側も「自分の前に何台入ってくるのか」が読めなくなり、ブレーキを踏む回数も多くなる。さらに、なかなか進まない左車線を嫌い、無理矢理にでも右車線に移ろうとする車も出てくるだろう。

 このように、合流ポイントが統一されないことで「車両が交錯するポイント」が至るところで発生し、余計な減速が頻発してしまうのだ。渋滞時の合流は「車線の先頭」で行い、本線側もそれをスムーズに受け入れるようにしたい。

「下道の方が動いている」という罠

 高速道路で渋滞にハマると、「下道ならスイスイ進めるのでは」という誘惑にかられるかもしれない。

 しかし、下道に降りる選択が奏功するケースはそう多くない。事故渋滞のように一部の車線が塞がれてしまうケースを除き、高速道路は渋滞中でも時速20~30km程度のペースで動いていることが多いからだ。

 一方、一般道は信号待ちで完全に止まる時間が頻繁に訪れる。スムーズに進んでいるようでも、平均速度で比べると渋滞中の高速と大差ないことがほとんどなのである。