獣のように、四つん這いで……

 一緒にまわるチームは、サエキさん(同)とキノシタさん(同)。サエキさんは40歳くらいの女性、キノシタさんは73歳の男性で、このホテルでもう10年働いているという。しかも、週に6日出勤。徒歩圏で暮らしているそうで、日によっては朝から昼過ぎまで勤務し、しばし帰宅して夕方からまた働いている。

 時給制で、経験に応じて1000~1500円くらい。ホテルは24時間稼働しているので、Wワークの従業員やアルバイトの学生もいるらしい。サエキさんもキノシタさんも無駄な贅肉を感じさせない体型で、動きは機敏。空室が出るなり「行きます!」とサエキさんが号令をかけ、掃除用具やタオルやアメニティを入れたかごを抱えて待機部屋を飛び出していく。2階建てのホテルなので、階段を素早く上り下りして移動する。

 この日最初に掃除とベッドメイクで入った客室で、オクムラ店長から浴室掃除のレクチャーを受けた。浴室掃除は次の手順で行う。

ADVERTISEMENT

(1)バスタブに湯が張ってある場合は、その湯を抜く。

 

(2)排水溝に引っかかっている毛髪や陰毛を取り除く。

 

(3)バスタブ用の洗剤で汚れを取る。

 

(4)使用済みのバスタオルをバスタブの底に敷き、その上に乗って、水滴がなくなるまで磨く。

 

(5)同じ要領で床や壁も掃除して、水滴がなくなるまで乾拭きする。

 ラブホテルの業務で、腰を痛めるリスクが一番高いのが浴室の掃除らしい。作業のポイントは上半身だけで動かず、低い体勢で全身を使うこと。バスタブの低い位置を拭くときも上半身を折って作業をすると、腰に負担がかかる。面倒でも膝を折ってかがみ、安定した姿勢で掃除するようにと指導された。バスタブの内側は、底にバスタオルを敷き、獣のように四つん這いで乾拭きしていく。これはたぶん家庭の浴室掃除でも同じだろう。

浴槽は四つん這いになって清掃する。腰を痛めるリスクもある仕事だ(画像はイメージです)  ©akiyoko74/イメージマート

 それでも、1日の仕事を終えると腰に鈍い痛みを感じた。キノシタさんによると、勤めて最初の1カ月はきつかったという。それでも2カ月、3カ月と続けると、身体が仕事に慣れてくるそうだ。プロの風呂掃除仕様になってくるのだろう。