ラブホ清掃を週6×10年も続ける理由

 キノシタさんは離婚経験者で、身体が弱い70歳の弟さんとの2人暮らし。「弟は自宅でほとんど横になっています。働くことはできません。私ももう73なので、別の職場ではなかなか雇ってはもらえないでしょう。だから、このホテルの仕事はありがたい。時間の融通が利きますし。弟の体調がよくないときは、ちょっと様子を見に行くことも許してもらっています」

 生活のために、キノシタさんは続けられる限りラブホテルで働くそうだ。

 世の中にはさまざまな業種・職種がある。しかし、自分の本業以外で働く人と接する機会はほぼない。今まで縁のなかった環境に身を投じてみると、みんな、それぞれの事情を抱えて仕事をしている。

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 しかし、一緒に働いている限り、キノシタさんから悲壮感のようなものは感じなかった。ずっと明るく、機敏に身体を動かしていた。不器用な僕に仕事のコツを教えるその指示も実に的確。頼もしい先輩だった。その姿から学ぶことは多かった。

 ラブホテルのセットアップを最初に命じられた時にはかなり腰が引けた。使用後のバイブの消毒も、排水溝につまった男女の毛髪(あそこの毛も)を取り除くのにも抵抗があった。

 でも、すぐに慣れた。3部屋掃除したら、4部屋目からはへっちゃらとは言わない。それでも、躊躇なく素手でさわっていた。自分の適応力に自分が感心できた。

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