文春オンライン

2018/08/07

自己愛を肥大化させた組織にも問題はある

 ではなぜ、こんなことが起きるのか? 本人たちが問題であることはもちろんなのだが、彼らの自己愛を肥大化させた組織にも問題はある。

 体育会系組織は上意下達、絶対服従のピラミッド型。トップが権力を持ちやすい上に、大学の部活やアマチュアスポーツの組織は透明性が低く、外部の目が届きにくい。トップの組織運営や指導、性格に問題があっても、実績を積み重ねていれば、それらは問題視されず信頼にたる人物と人は思い込んでしまう。するとトップは自分のやり方が肯定されたと認識してしまう。

日大アメフト部の内田前監督も、コミュニケーション不足が指摘されていた ©文藝春秋

 コミュニケーション不足も問題を大きくさせた一因だ。栄氏はコミュニケーションが下手、内田氏は選手たちとコミュニケーションがなかったし、山根会長には一方的ともいえるコミュニケーションパターンが多い。

 下の者は意見を言えずに従うしかないが、いつしかそれに慣れてしまい、自分で考えることをしなくなるという無能の訓練が生じる。同時に忖度し誉めたたえることでトップとコミュニケーションできる幹部が組織の中で力を持つと、組織内にインフォーマルなピラミッドが出来上がり、幹部連も自己保身のために、その目をトップへ向けるようになる。

 結果、幹部連の目は内部にしか向かなくなり、組織の都合だけが優先されると問題が生じても問題と認識しなくなり、誰も情報収集をしなくなる。選手たちにそのしわ寄せが生じても、変わらないことが自分達にも利益となれば自浄作用は働かない。ワンマンなトップが支配する組織で、長年、問題が放置されるのはそのためだ。

辞任を否定している山根会長だが……

村田選手の声は届くのか ©文藝春秋

 矛盾する発言を連発する山根会長だが、テレビ出演した理由は「反社会的勢力に3日以内に引退しないと過去をばらすと脅迫を受けた」というものだと主張し、長年の交友関係をあっさり認めている。そういう人物を終身会長に据えているボクシング連盟とは、実に不可思議な組織なのだ。

 第三者委員会の設置に応じるというが、辞任は否定した山根会長に「そろそろ潔く辞めましょうよ」という村田選手のコメントを送りたい。

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