不運にもクマに襲われた場合、身を守るための方法として「うつ伏せになって首の後ろを守る」という方法も有名だ。先述した東京都環境局のHPでもこの方法が推奨されている。

いわゆる「死んだフリ」だが、クマは原則として人間を恐れる習性を持っているので、首の後ろなど致命傷になりやすい部分を守りつつ粘っていると、いずれクマは攻撃を諦めて立ち去るので、この方法で生存可能性が高まるとされている。

「死んだフリ」の有効性には科学的根拠がある。

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カナダのクマ専門家であり、『ベア・アタックス』などの著書があるカルガリー大学のヘレロ氏によると、数百件の事例を分析したところ、グリズリー(ハイイログマ)による攻撃の大半は「防御的」なものだった。

つまり、大半は「クマ自身の身を守るため」であり、「人を捕食するため」ではなかった。その場合、「死んだフリ」で身を守っていれば、攻撃を諦めて立ち去る可能性が高いことがわかったという。

「頭皮がめくれ…」26歳男性を襲った絶望

一方で、前述の書籍刊行からかなりあとの2018年、ヘレロ氏も参加した別の研究によると、「死んだフリ」と「クマと戦う」の間に有意な差はなかったという結果も出ている。

人を襲うクマ』等の著書がある羽根田治氏も、「死んだフリ」をすると余計攻撃を受けるとして、避けるよう呼び掛けている

では、クマに襲われた場合、どのような手段が有効なのか。

実はかつてグリズリーに襲われた男性が、「とある方法」で絶体絶命の状況から生還したケースがある。

各種報道をもとに、その方法についてご紹介してみよう。

2015年10月3日。アメリカ・モンタナ州シュートー(Choteau)北西のロッキー山脈で、26歳のチェイス・デルウォさんは、兄のシェーンさん(29)とともに狩りをしていた。

この時彼らは、エルク(日本ではワピチもしくはアメリカアカシカ)と呼ばれるシカを弓矢で狩っていた。チェイスさんがエルクの群れを追い立てようとしていると、すぐ目の前にグリズリーが立っていた。