現地は天候不良で、雪や雨が断続的に降っていたほか、強風も吹き荒れていた。そのため目の前にグリズリーがいることに気づかず、うっかり接近してしまったのだ。
眠っていたグリズリーは、チェイスさんの接近で目を覚ますと、猛然と襲い掛かってきた。チェイスさんは後じさりしたが、グリズリーの体当たりで転倒してしまった。
CBSによると、「クマが私の頭を噛み、頭皮がめくれあがって、顔全体が腫れ上がりました」とチェイスさんは語ったという。
命を救った「古い雑誌の記憶」
この時点でチェイスさんは大怪我をしていたが、グリズリーは立ち去るどころか、さらに攻撃をしかけてきた。
この時、チェイスさんがとっさに取ったある行動が、彼の命を救ったのだった。
グリズリーが襲ってくるその時、チェイスさんは祖母からもらった古い雑誌(『リーダーズ・ダイジェスト』誌だったという)の記述を思い出したのだという。
地元紙によると、「大型動物は喉が弱点で、物を突っ込まれると吐き気を催して逃げるって書いてあったんです。それしか思いつかなかった」とチェイスさんは語ったという。
チェイスさんはグリズリーの口の中に、自分の腕を突っ込んだところ、グリズリーは激しくむせてチェイスさんをはなし森に逃げ込んだという。
この時のグリズリーは体長約2.1メートル、体重約160~180キロの雄の成獣だったとされる。
チェイスさんは血まみれの状態で、兄のいる尾根まで歩いた。兄のショーンさんはチェイスさんを見て驚き、すぐ車に乗せて病院へ急行。
チェイスさんは頭部に30針以上縫う傷を負っていたほか、顔面に裂傷、右目に腫れ、右脚に深い刺し傷を負っていた。
ただ、幸いにも命に別状はなかった。
クマの口中に腕を突っ込むという奇策が功を奏したと考えられる。
腕を失う覚悟の「最終手段」
「クマの口の中に腕を突っ込む」という方法は本当に有効なのだろうか。
まず、チェイスさんが語った「大型の動物は嘔吐反射を催す」は、必ずしも正確ではない。