4/4ページ目
この記事を1ページ目から読む
大型動物の中には、嘔吐反射の習性をもつ動物もいる。クマはその中の一つで、冬眠前に暴食するため、食べ過ぎてしまった場合は胃の内容物を吐き戻すことができる。
一方、大型動物の中でも、ウマなどは体の構造上嘔吐できないとされている。必ずしも「大型動物は嘔吐反射する」とは言えず、種類によるということになる。
また、クマの噛む力は非常に強く、グリズリーの噛む力は人間の約8倍にも達するという。クマの口の中に腕を突っ込んだ場合、嘔吐反射をうながす前に、腕を食いちぎられてしまう可能性が高い。
チェイスさんのケースではたまたま嘔吐反射を起こすことに成功したが、同じように成功する可能性はかなり低いと考えられる。
そのため、すでにクマに組み伏せられ、体のあちこちを食われているといった、極めて危険な「絶体絶命の状況」に陥った場合のみ、この方法を試す価値はあるだろう。腕を失う可能性が高くとも、命だけはなんとか助かるかもしれないからだ。
ただ、そもそもそんな絶体絶命の状況に陥らないことこそ、本当に有効な対策だろう。
行政が推奨する「クマスプレーの携行」といった基本的な方法を徹底した上で、各自が必要と考える対策を取ることをおすすめしたい。
中野 タツヤ(なかの・たつや)
ライター、作家
出版社で書籍・Web編集者として活躍したのち独立。ヒグマ関連記事を多数手掛けた経験をもとに、日本および世界のクマ事件や、社会・行政側の対応について取材している。tatsu_naka1226@ymail.ne.jp
ライター、作家
出版社で書籍・Web編集者として活躍したのち独立。ヒグマ関連記事を多数手掛けた経験をもとに、日本および世界のクマ事件や、社会・行政側の対応について取材している。tatsu_naka1226@ymail.ne.jp
