昨年11月の高市早苗首相による「台湾有事答弁」について、年が明けても中国の対日批判のボルテージは上がる一方だ。1月に予定されていた財界訪中団の受け入れを事実上拒否。今月下旬には上野動物園からパンダ2頭が返還され、日本では54年ぶりに“パンダゼロ”となる。
最高指導部は号令まで…省庁、地方政府、国有企業などが「自発的」に「制裁」を行っていく
なぜ中国側は官民問わず、総力をあげた対日強硬姿勢を崩さないのか。その特殊な論理を高口康太氏が「台湾有事発言 中国人民14億人のホンネ」(「文藝春秋」2月号)で明らかにしている。
高市発言に対して、中国共産党の機関紙「人民日報」(11月28日)の匿名コラムは、次のように宣言した。「一線を越えた重大な挑発だ、高市早苗はその報いを受けるであろう」。これは一種の“犬笛”だと高口氏は指摘する。
〈匿名コラムのメッセージは「制裁」のゴーサインとして機能する。旅行、留学、映画、芸能など多岐にわたる「制裁」について、そのすべてを習近平総書記と中国共産党指導部が指示しているわけではない。最高指導部は「日本は許せない。徹底的にやる」との号令を発するところまで。その後は省庁、地方政府、国有企業などがそれぞれ「自発的」に「制裁」を行っていく〉
それぞれ全力で“忖度”し、習近平総書記への忠誠をアピール
こうした最高指導部の号令に部下たちが一斉に従う構造は、かつて「トップレベルデザイン」(頂層設計)と言われていたが、最近では「1+N」と呼ばれている。
〈トップ(1)の号令に、部下たち(N)がそれぞれ全力で“忖度”し、習近平総書記への忠誠をアピールするのだ。EVやドローンの普及といった経済問題から、コロナ対策、そして外交的「制裁」まで、多くの場面で「1+N」は繰り返される〉
「N」は地方政府や共産党員だけに留まらない。ネットの言論空間でも無数に拡大していく。
〈評論家やインフルエンサーによるブログ、SNS、ショート動画は荒唐無稽なレベルに達している。「なぜ、日本は負けるとわかっていても中国に戦争をしかけるのか」「高市早苗、5万8000人の自衛隊を招集」「日本が24時間体制で軍事基地建設を急ぐ」「日本人民、大々的な高市下ろしの抗議デモを開催」「日本の治安が急激に悪化」などなど〉
こうしたフェイクニュースを、中国の高齢者たちを中心として、信じ込んでいる人が少なくないという。
ほかにも、日本批判のSNS投稿に「いいね」をする一方で、日本ブランドを買う中国人の素顔などが詳述されている高口氏のレポートは、月刊「文藝春秋」2月号(1月9日発売)、および月刊「文藝春秋」のウェブメディア「文藝春秋PLUS」(1月8日先行配信)に掲載されている。
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