高市早苗首相の国会での発言から日中関係が急速に悪化し、国内では事態の早期収拾を求める声が高まっている。
そんななか前駐中国日本大使の垂秀夫氏が「高市総理の対中戦略」と題する論考を、「文藝春秋」1月号に緊急寄稿した。
「冷却した関係は数年に及ぶ可能性が高い」
垂氏の見方は非常に厳しい。今回の「冷却化は数年単位」になるという見方を示す。
〈今回の事案は短期的には収束しないであろう。今後とも中国はレアアース規制のさらなる強化、邦人拘束などさらに厳しい措置をとってくるであろう〉
〈こうした事態になれば、常に持ち上がるのが、「中国とのパイプはないのか」という問いである。しかしながら、かつての「野中―曾慶紅ライン」のような信頼に裏打ちされたパイプはいまや存在していないし、二階俊博元幹事長に代わる“中国に顔が利く”大物政治家も見当たらない。こうした意味からも、冷却した関係は数年に及ぶ可能性が高い。
「中国経済が深刻だから、日本との経済関係を悪化させるわけにもいかず、日本に強く出られない」という見方は中国共産党の本質を理解しておらず、甘いと言わざるを得ない。経済発展を最重視した鄧小平時代とは異なり、習近平外交は「強い中国」を最優先する段階に入っているのだ。日本に対する強い姿勢はしばらく維持されるという前提で日中関係を考えていく必要があろう〉
では、日本はどうしたらよいのか。

