「どうかPTSDにならないで」――好意を持った女性部下の自宅マンションに侵入した56歳のエリート銀行員。犯行後に彼が、被害者に送った“謝罪文”から見えた「罪の深さ」とは――。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む

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女性部下を襲った上司はその後…

 歩美さんは拘束と目隠しを拒んだが、撮影をほのめかす脅しによって従わされ、厳重に拘束された。

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 長島は変装を解き、歩美さんを寝かせて身体への不当な接触や器具の使用を行い、その様子を記録した。最終的に性交を試みたものの、年齢ゆえか身体的に反応せず、苛立ちを露わにした。

 急に冷静になった長島は、良心の呵責を覚え、一刻も早く立ち去りたい心境に襲われた。歩美さんのスマホをリュックにしまい、来たときと同じような変装をして、歩美さんのアイマスクを外した。

「あとのことは自分でできるよね?」

 そんなことを言って、部屋から出て行った。歩美さんは自力でガムテープを外したが、また犯人が戻って来るのではないかと怯え、スマホを奪われたため、警察に通報できなかった。

 ヨロヨロと外に出た歩美さんは、マンションのエントランスまで行ったとき、住人の男性が通りかかったので、助けを求めた。男性は交番まで一緒に付いてきてくれた。

 警察は強盗強制性交等事件とみて、捜査を始めた。

 一方、長島は自宅に帰る途中、公園に立ち寄って念願の歩美さんのスマホの中身を覗き見た。そこには彼氏と仲睦まじく写る画像などが保存されていた。だが、もし彼女が警察に届けていた場合、位置情報から特定されてしまうのではないかと思い、慌てて電源を切った。

「こんなものを持っていたら、逆に居場所がバレてしまうのではないか。こんなものは持っていられない」

 長島は歩美さんにスマホを返すことにした。ついでに“謝罪文”も添えることにした。