ロピアとも熾烈な戦いを繰り広げている

 効率化に長けている半面、生鮮が強くないことを自覚していたバローは、生鮮に特化して高い売場効率を誇るタチヤを仲間に入れて、そのノウハウ活用に取り組んできた。

 2014年度あたりから既存店売り上げのマイナスが続いたバローは、タチヤのノウハウを採用した生鮮カテゴリーの強化に踏み込み、手ごたえを得た。そして、魚売場を集客エンジンに据えた「デスティネーション・ストア」(D・S店舗)という形を編み出した。

 バローによると「デスティネーション」とは、競合他店を通り過ぎてまで来店してもらえる、いわば「目的」となる店、という意味なのだという。まさに遠くから生鮮を目当てに来店する顧客が増えていて、取材をしていると店舗ベースでは売り上げが1.5倍ほどになることも多いと聞く。その結果、バローの売場効率、既存店売上、客数は急速な改善に向かい始めた。ただ、D・S店舗への転換を果たしたのは、まだ240店中70店ほどに過ぎないため(2023年度時点)、まだまだ業績は伸びるだろう。

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D・S店舗へのシフトを進める近年、売場効率が明確に向上している(バローIR資料を基に筆者作成)

 こうした紆余曲折も経て、この5年ほどの間に、中部地方で大きく売り上げを増やしたバローは、大消費地である関西に攻め入り、既に売り上げ201億円(2025年3月期)を稼ぎ出し、勢いを増しつつある。大阪寝屋川市の香里園という地区には、国内有数の集客力を誇るロピアが関東から乗り込んでいるのだが、バローがその隣に出店して一歩も引かぬ実績を上げて、周囲の既存スーパーに大打撃を与えていると評判だ。

 少し前に現場を見てきたが、その評判通りであった。ロピアといえば、それこそ神奈川県地盤の強力な生鮮スーパーであり、首都圏ではガチンコでロピアに勝つのは至難の業と言われている。そのロピアに負けないのであれば、首都圏でも勢いを維持するであろう。

バローは既存店の売り上げ、客数も順調に伸びている(同前)

 イオンが関東子会社を再編成したことで「USMH+まいばすけっと」というイオン軍団は首都圏でのトップシェアを確立し、さらなる拡大を目指すだろう。そして、トライアル傘下の「西友+トライアルGO」も今後成長する可能性が高い。こうした背景から、現在首都圏では大手チェーンの寡占化が進むと予想されているのだが、それはある意味、昔、バローが目指していたチェーンストア理論に基づく「金太郎飴チェーン店」の増殖ということを意味している。

 そうなるのであれば、チェーン店との差別化という意味で、バローはかえってその存在が際立つことになる。D・S店を擁するバローや、ロピアが今後も増えていった先、首都圏の競争環境はどのような結末を迎えるのか目が離せない。

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