結局のところ「何がウケるかわからない」

――ポジティブであるためには、いろいろなメディアで多角的に将棋が取り上げられる必要があります。週刊誌『女性セブン』(小学館)では、2024年から「S4」という将棋界の若手イケメン特集が組まれていますよね。女性誌ならではの企画でした。

糸谷 取材媒体によって、いろんな捉え方があると思っています。例えば、イケメン棋士の企画をビジネス雑誌でやってもウケないでしょう(笑)。

 重要なのは皆さんの好きなように楽しんでいただくことであって、その触れる機会を増やすために日本将棋連盟がいろんな媒体の柔軟性に応えることです。極端にいえば、炎上しなければなんでもいいですよ。

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――電王戦や叡王戦を主催したドワンゴの「ニコニコ動画」は、「詰将棋カラオケ」などバラエティのような企画でも多くのファンを惹きつけました。何が面白いと思われるのか、その世界に染まっているほどわからないかもしれませんね。

2023年の「ニコニコ超会議」では佐藤天彦九段(左)と“100局デスマッチ”に挑んだ

――例えば、YouTubeチャンネル「囲碁将棋TV -朝日新聞社-」(登録者数12.5万人)では、藤井聡太竜王・名人が駒を高速で片づける様子を収めた動画が68万回も再生されています。関係者からすれば見慣れた光景ですし、ほかの棋士も同じように仕舞いますから、それがファンの人にウケるとは思いも寄らないですよね。

糸谷 その辺りは自分の目で考えないで、将棋にどっぷり浸かった人以外に任せた方がいいような気がしますね。

 例えば先日、麻雀プロの「卓掃」動画を見たら面白かったですよ。雀荘は営業後に牌を拭いて綺麗にするらしく、麻雀プロの方は下積み時代があるから手際がよいんですね。トッププロとなれば滅多にやらないみたいですけど、いざやってみると手際がいいから、下積みをきちんとこなしてきたことが伝わってきました。

――そういわれると、私も町中華や蕎麦屋、定食屋の仕込み動画をよく見ていますね。本人たちからすれば仕事の一環でしょうけど、こちらからすれば店の裏側を見たようで面白い。よくよく考えたら、それと同じですか。

糸谷 そうかもしれません。将棋もそういうコンテンツが増えるためには、自由にやっていただくしかない気がします。何がウケるかわからないですから。

撮影=細田忠

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