「役柄から遠い人間だと思われているかも」
演じるウェイホンは屋台で鶏肉を売っている設定だが、ボーホンの実家も長らく市場で商売をしていたそう。「子どもの頃は家族と市場に行き、呼び込みをしたり、物を売ったりしていたんですよ」という。
「僕はこの役柄から遠い人間だと思われているかもしれませんが、実際は共感するところがとても多いんです。撮影が始まる前には、監督や共演者たちとロケ地で実際に生活するなかで、自分たちと家族の関係や、サリーとウェイホンの関係などについて話し合いました」
主人公のサリーことフイジュンは昔から育ってきた農村の生活に疲れており、だからこそパリで暮らしているという男性に心ひかれ、少しの間だけ町を離れる決心をする。物語に説得力をもたらすのが、ボーホン演じる弟ウェイホンや、弟の友人ハオ(リー・インホン)の醸し出す“田舎っぽさ”だ。
実際の農村をよく知るボーホンは、少年時代によく見ていた「田舎のおじさんたち」を参考にしたほか、農村での生活を思い出し、そのままウェイホン役の演技に反映した。その言葉には、役者としての鋭い観察眼が表れている。
「農村は人と人との距離が近いんです。子どもの頃、家から遊び場へ出かける時は、知り合いの家に立ち寄って『一緒に遊ぼう!』と声をかけていましたし、美味しいものは分け合っていた。都会の生活では一人で食事をすることも珍しくありませんが、農村では食事の時間にみんなが自然と集まるし、何かあればお互いに助け合う。生活が密接で、家族の結びつきも強く、もっと言えば人間と動物の距離も近いんです」
劇中で表現されている農村生活のディテールを、ボーホンはとても気に入っているそうだ。
「農村での生活は、テンポがゆっくりとして、人々の気持ちも落ち着いている。そのぶん、重くて深い感情を言葉で表現することは得意ではありません。ウェイホンも自分の結婚式でさえ、お酒を飲まないと本音を姉に伝えることができないんです」


