アドリブで魅せる姉弟の関係

 姉のフイジュンは独身で先行きの見えない日々を送っているが、弟のウェイホンは結婚し、まもなく台北に引っ越す身だ。ウェイホンは田舎の養鶏場を姉に託し、都会で自分の店を開こうとしている。もっとも、姉を思い、心配する気持ちがなくなったわけではない。

フイジュン(エスター・リウ)

 フイジュンへの思いがあふれる結婚式のシーンは名場面のひとつだが、もともと脚本にはウェイホンが姉に語るセリフは書かれていなかったという。「脚本には“結婚式のシーン”と書かれていただけで、僕のスピーチも予定されていませんでした」とボーホンは言う。

「撮影を数日終えたあと、監督から『結婚式で姉に話をしてほしい。ウェイホンが言いたいことを話してほしい』と言われたんです。そこで、『彼がお酒を飲んでから話すのは面白そうですね』と提案しました。スピーチの内容は監督と考えましたが、セリフを練習しながら毎回とても感情が動きました」

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リン・ボーホン(左)とエスター・リウ(中央)

 姉との関係を想像しながら、ボーホンは「きっと言葉に詰まってしまうだろうな」と感じていたそう。一人でセリフを練習している時は一度も泣かなかったというが、本編に使用されているOKテイクでは思わず涙がこぼれた。

 姉弟の関係をうまく表現できたのは、フイジュン役を演じたエスター・リウへの信頼ゆえ。「彼女は素晴らしい役者で、即興演技のスキルがあり、即興を楽しむ余裕のある方。日常的なやり取りにアドリブを入れたことで、リアルで生活感のある会話ができたと思います。本物の姉弟のように感じてもらえたらうれしいです」

フイジュン(エスター・リウ)