大切なのは「共通点と相違点を見つけること」

 ウェイホン役は、自らの人生経験から共感するところが大きい役どころだった。一方、自分自身とは重ならないところもあったという。

「現実にフイジュンのような姉がいたとしても、僕はウェイホンのようなやり方で姉の恋愛を決めつけることはしないと思います。人を思いやる方法はそれぞれ違うもので、ウェイホンは姉を大切にしているものの、言葉で姉を傷つけてしまうことがあるんです」

フイジュン(エスター・リウ)はパリへ

 演じるうえでイメージしたのは、世代の異なる年長者とのやり取りだった。

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「日常生活で年上の方々と話していると、気遣ってもらえていることはわかっていても、価値観の違いがあまりに大きいことがある。そのとき、愛情表現は必ずしも自分の想像通りではないことを理解するのです」

 近年、ボーホンはさまざまな作品であらゆる男性像を演じてきた。本作で演じた姉思いの心優しい弟をはじめ、最新作『96分』では、秘密を抱えながら爆弾事件の解決に奔走する爆弾処理のプロフェッショナル役。『愛という名の悪夢』では恋愛に優柔不断な若者を、『僕と幽霊が家族になった件』ではゲイの幽霊を演じた。

 幅広い役柄を演じるうえで、いつも自分自身に課していることは――。最後にそう問いかけると、ボーホンは少しだけ考えてからこう答えてくれた。

「僕自身に似ている部分と、まったく違う部分の両方を見つけること。どんな役柄であれ、共通点や相違点を見つけられれば、その人物をもっと好きになれるように思うんです」

フイジュン(エスター・リウ)

『サリー』
監督・脚本:リエン・ジエンホン/出演:エスター・リウ、リン・ボーホン、リー・インホン、ヤン・リーイン、タン・ヨンシュイ/2023年/台湾・フランス/105分/©2023 ENLA Media Limited, The Graduate Co., Ltd., Bole Film Co., Ltd. and Lien Chien Hung All Rights Reserved/配給・宣伝:アニモプロデュース/全国順次公開中

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