「Bの彼氏という人物は、実在しなかった」捜査で明らかになった信じがたい事実

 捜査が進むにつれて、さらに信じがたい事実が明らかになった。Bの彼氏という人物は、実在しなかったのだ。

 すべてはAだった。男子生徒に学校をやめさせたのも、Bの家に住まわせながら奴隷のようにさせたのも、仮想の彼氏をつくって暴力を振るうように指示したのも。すべて、Aが仕組んだことだったのである。

 捜査の結果、Bは中学生の頃に家庭の経済状態が悪くなり、その苦しい思いをAに打ち明けたことがあると判明した。そのときからAは、Bを相手にガスライティングをしはじめた。AはBに対して、私のすることはすべてあなたのためだ、と言った。

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 自分があなたの面倒を見るからこそ、あなたが存在している。だから、私が何を望んでいるか考えて行動するように、と言い続けて、洗脳した。そうして続いたガスライティングが、結局は男子高生を死に貶めたのだ。

写真はイメージ ©アフロ

被害者はガスライティングをされていることに気づいてない

 このような事件が起きると、多くの人がなぜそんな事件が起きるのか、とうてい理解できないと口を揃える。命令されたからといって、なぜそんなことをするのかと。しかし、ガスライティング(誤った情報や嫌がらせによって相手を支配しようとすること)が行われる過程を見ると、被害者を単に非難することはできない。

 ガスライティングには、別の問題点もある。それは、被害者自らがガスライティングをされていることに気づいてないところだ。

 なぜなら、加害者は被害者が問題意識を抱いたり、現状から抜け出そうとしたりすることじたいを許容しないからだ。さらに加害者は「あの人には会わないで。あの人が言ってることは間違ってるよ」などと言うことで、人間関係を壊す。そうやって自分への依存度を高めるのだ。

 私がガスライティングに注目するのも、それがきっかけで第2、第3の事件が起きるかもしれない危険性をはらんでいるためだ。

Aを裁くことはできるのか

 では、Bに暴行を指示したAは、殺人教唆などで処罰できるのだろうか?

 答えはノーだ。やり取りしたメッセージの中に「殺せ」などの言葉が含まれていない限り、殺人教唆で処罰はできないという判決が出た。

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