また視覚効果を使って、生放送なのに歌手を消したこともある。ピンク・レディーの「透明人間」。「消えますよ~ 消えますよ~♪」と歌った瞬間に、画面からミーとケイの2人が消える。これはデジタル映像記憶装置という最新技術を使って消したものだった。

いまならこうした効果を生み出すのは比較的容易かもしれないが、それを40年以上前にやっていたのだから時代に先駆けていた。

ただ、これらはまだエンタメを追求した演出であり理解可能なほうだ。もっと意味不明でシュールなものも、この番組ではよくあった。

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伝説になった山本譲二のふんどし姿

荻野目洋子が歌った「六本木純情派」。「ダンシング・ヒーロー」と並ぶ荻野目のヒット曲で、失恋したばかりの女性が六本木で繰り広げる恋模様を歌ったダンサブルな曲である。この曲が初めてベストテン入りし、スタジオでの歌の披露となった。

夜の六本木を表現したような電飾をちりばめたセット。ここまではわかる。だが曲が始まると、派手な着物を着たひとをはじめ、全身白塗りの男性たちが荻野目洋子の周りでなにやら怪しげなパフォーマンスを繰り広げ始める。

彼らは暗黒舞踏集団「白虎社」のメンバーだった。「六本木純情派」の曲調と前衛舞踏がすぐに結びつかず、見ている視聴者は混乱した。狐につままれた気持ちとはこのことだろう。

そしていまでも語り草なのが、山本譲二のふんどし姿での熱唱である。

山本の「みちのくひとり旅」は、演歌らしくロングヒット。24週もベストテン入りしていた。さまざまな演出をやり尽くしたこともあったのだろう。そこで出てきたアイデアが、ふんどし姿だった。本人も最初は断ったそうだが、熱心に口説かれて承諾した。

「お前が俺には 最後の女」というフレーズが繰り返される歌なので、“男”を強調するのはわからなくもないが、それでもふんどし姿で歌うというのは発想が突き抜けている。本番は、床一面にスモークが焚かれたなかふんどし一丁で歌い上げる山本譲二のバックで同じふんどし姿の男性たち6人が盛り立てるという、これでもかといった感じの演出だった。