発足から3カ月が経過した高市早苗内閣。初の女性宰相の「1学期」を識者はどのように評価するか。文芸評論家の浜崎洋介氏、作家の鈴木涼美氏、著述家・翻訳家のマライ・メントライン氏、共同通信編集委員兼論説委員の久江雅彦氏が語り合った。

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参政党との類似点

 久江 高市首相を生み出した要因は、現在の自民党が置かれた状況による、構造的なものでしょう。

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高市早苗首相 Ⓒ時事通信社

 かつての自民党は、右派から中道まで抱えていた。2009年に下野してから「保守政党」と綱領に入れ、イデオロギー色を打ち出すようになりました。それで政権を奪還して、もともと傍流だった清和会(旧安倍派)は、100人規模に膨れ上がった。その過程において、下支えする保守的な支持層も大きくなっていった。でも、2022年の安倍(晋三)さんの死去と旧統一教会問題、その後の「裏金問題」で旗頭の安倍派がゴッソリいなくなってしまった。かといってその空白に高市さんがすんなり入ったわけではない。彼女は清和会を辞めた人だし、巷間言われるように党内でも保守の本流とは思われていなかった。ただ、支持層は残っているのに行き場がない。石破茂首相の登場で、清和会を支持していた右派や保守層の一部は参政党や国民民主党、日本保守党に流れた。党としてはこの流れを止めなければならない局面で、「勝てそう」という打算の産物が高市首相だった。それが結果として女性だったという認識です。

 浜崎 おっしゃる通りです。その上で、この高支持率を叩き出した背景に国民の潜在的な不満と不安があったことは間違いありません。主に次の2点です。一つは緊縮財政の問題、もう一つは外国人問題です。

愛用のバッグも話題 Ⓒ時事通信社

 プライマリーバランス(基礎的財政収支)という不条理な財政規律に囚われた財務省が、その緊縮財政によって長くデフレを放置してきたわけですが、加えて、ここ最近の物価高に対する国民の我慢はもう限界に達していました。その点、「債務残高対GDP比」という、新しい、しかし世界標準の財政規律によって21.3兆円の経済対策を打ち出したことには、時代の転換と共に、高市さんの「本気」を感じましたね。

 そして、外国人問題ですが、分かり易いところで言えば、たとえばオーバーツーリズムです。僕も京都にいるのでよくわかりますが、観光客の8割、9割が外国人ですよ。これじゃ、地元住民の不満も高まるに決まっているし、旅行したいのに出来ない日本人の不満も高まります。