食料危機が叫ばれるたび、人工肉や昆虫食が「未来の答え」のように語られる。しかし本当に、日本人が守るべき食料はそこにあるのだろうか。

 鹿児島大学教授の佐野雅昭氏は、日本の国土と海のデータをもとに「私たちは決定的な強みを見落としている」と警鐘を鳴らす。陸ではなく、海にこそ日本の生存戦略がある理由とは? 新刊『日本漁業の不都合な真実』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む

写真はイメージ ©getty

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海まで含めれば日本は「世界有数の大国」

 日本は小さな島国です。山がちで、国土の67パーセントが森林とされます。OECD加盟国では森林で有名なフィンランドやスウェーデンに次ぐ高い割合で、世界平均である約30パーセントの倍以上。日本は世界に冠たる森林国です。

 逆に言えば、日本は平地が少なく、国土に占める農地の割合はわずか約11.5パーセント。農水省大臣官房の食料安全保障室によれば、日本は人口が多いため一人当たりの農地面積は約3.5アール程度と非常に小さく、現在の食生活を続けるために必要な農地面積11アールの3分の1にとどまります。たとえ種子や肥料などの輸入が十分に確保されたとしても、国産農産物だけではやはり今の人口の3分の1程度しか現在の食生活を維持できないことになります。

 さらに悪いことに、この希少な農地も農業者の高齢化や労働力不足などにより荒れ果て、年々減少しています。

 農地が狭い上にそれすら縮小し続けている島国日本ですが、世界で6番目に広く4番目に体積の大きな、豊かな水産資源をもつ200海里排他的経済水域を有しています。

 海まで含めれば日本は世界有数の大国なのです。