――基本的には、どういう経緯でICの仕事が入るのでしょうか。

多賀 脚本がある程度固まってきた段階で、プロデューサーなどが「ICを入れた方がいいね」と判断して声がかかるケースが多いと思います。もちろん、俳優部の希望で入ることもあります。

 そもそも作品の題材として性的な要素を取り扱うものであれば最初から起用されるパターンもあります。

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「緊張させたり、取り調べのようにならないように…」撮影前に行われる、監督や俳優との“面談”

――撮影当日までに、監督や俳優とはどのようなコミュニケーションを取るのですか。

多賀 それぞれと面談でお話をさせてもらっています。監督との面談の場合は、最初の面談でなるべく最大限の情報を聞きたいのですが、その時点でまだ「どのようなシーン内容になるか」など具体的に決まっていないことも色々とあるので、あれこれ聞いてピリついてしまうよりも、その時点で決まっている情報をお聞きするようにしています。

――向こうからすると、少し問い詰められているような、責められているような気持ちになるのでしょうか。

多賀 初対面のことが多いですし、緊張させてしまったり、取り調べのような雰囲気にならないように気をつけています。

 なので僕は詰め過ぎず、必要であればもう一度面談をさせてもらったりもしつつ「この人はどんな作風の人なんだろう」「どういう作品にしようとしているんだろう」というようなことを考えながら、質問をしていくことが多いです。

 

俳優から「このキスシーンは要りますか?」と聞かれたら

――俳優の場合は、面談でどういったやりとりをするのでしょう。

多賀 監督からお聞きしたシーン内容をお伝えして、「こういうシーンの想定ですが、不安なことはありますか」といったお話を中心にすることになります。

 例えばそういったシーンを撮るのはOKだとしても、肌の露出をなるべく抑えたいとか、背中側から撮ってほしいとか、口を開けるキスはしたくないとか、なるべく俳優の心身にかかる負担を取り除けるように細かくリクエストを聞いていきます。

――そもそも「やりたくない」という場合も?

多賀 もちろんあります。「このキスシーンは要りますか?」というようなお話をされる方もいます。そういった場合は「では監督に違うアイデアを出してみましょうか」という風に、ICが間に入ってすり合わせをしていくことになります。

 とはいえ原作がある作品の実写化なんかですと、そこを忠実に再現したい製作チームと、本当に必要なシーンなのかどうかで悩む俳優部とのせめぎ合い的なところもありますが、それでもやっぱり俳優部のやりたくないことはやらせたくないので、しっかりと意見を聞いて代案を出しています。