ズムウォルト級は最新鋭の科学技術の粋を集めた戦闘艦として、約3兆円もの研究開発費が投入されたと言われている。さらに、想定以上に船体の維持や砲弾などのコストがかさんだ。いずれ取り外されるという意味の説明を受けた155ミリ砲も砲弾が非常に高価でコストを押し上げる原因になっていた。
そして、当初は32隻構想だったズムウォルト級は、結局3隻の建造だけで打ち切られた。米軍は現在、ズムウォルト級について、ステルス性を生かして単独で行動し、遠距離からミサイルを発射、目標を破壊する運用を考えているという。しかし、衛星や高高度偵察機が発達した現代で、どこまで隠密行動が取れるのかは心許ない。
一方、トランプ氏はトランプ級戦艦(*3)について、標準的な砲とミサイルに加え、極超音速兵器、レールガン、高出力レーザー兵器も搭載されると述べた。
*3 2025年12月22日、トランプ大統領の推進する「黄金艦隊」計画の一環として建造が承認された戦艦
しかし、電磁誘導によって超高速で発射するレールガンは大容量の電力が必要で、米海軍は一度開発を断念している。トランプ級戦艦は通常動力(原子力以外の動力)としているが、専門家からは「たとえレールガンの開発に成功しても、原子力なしに連続して運用できるのか」という声が上がっている。
迷走を繰り返す米海軍
そもそも、米海軍の艦艇建造は近年、迷走を繰り返していた。
冷戦終結後、超大国となった米国は「向かうところ敵なし」として、フリーダム級・インディペンデンス級沿海域戦闘艦(*4)の建造を計画した。
*4 小型・高速のステルス艦に多目的モジュールを搭載した戦闘艦。モジュールを適宜交換しながらさまざまな任務に対応することが目指された
沿海地域での小規模な紛争や麻薬密輸対策などが想定されていた。ところが、2001年の米国同時多発テロから対テロ戦争が始まり、想定とは異なる運用が求められ、さらに10年代には戦略そのものが「エアシーバトル構想」に移った。結果、フリーダム級は当初52隻の建造を計画したが、32隻で打ち切られた。なお、その後のズムウォルト級は3隻だけの建造に終わった。
