Giverの原動力は「内なる衝動」
澤 私の周りでも、アパレルブランド「ファクトリエ」の山田敏夫さんのように、町工場の人たちがハッピーになること自体を目的に、割に合わないだろうと思うほど、ニコニコして時間と手間をかけているGiverがいます。気持ちよく働いてもらうために自ら現場に出向き、すごくいいものを作ってかつ消費者にもリーズナブルな価格で提供しています。
あと、元ユニリーバ・ジャパンで取締役をなさっていた島田由香さんも、Giverの塊みたいな方ですね。もう損得勘定とか全部抜きにして「眼の前にいる人がハッピーになるために私は何ができるのだろう」って考えられる人ですね。
楠木 あと思いついたのは、いまANAの社長をやっている井上慎一さんもGiverタイプですね。コロナ禍で一番ひどい目にあった業界のひとつが航空業界ですが、そんな中でも飛行機を利用している人たちに井上さんは空港で話を聞いて、移動手段ではなく“飛行機に乗ること自体”が好きな人たちが一定数いることに気づくんですね。だったらその人たちに楽しんでもらうにはどうしたらいいだろうと、飛んで往復で帰ってくるだけのフライトとか、面白いサービスをいろいろ展開していたんですね。
危機的な局面ほど、その人がGiverなのかTakerなのか、行動に出るんですよね。
澤 つまるところ、Giverの原動力って、抽象絵画の創始者であるカンディンスキーのいうところの「内なる衝動」だと思います。表現がアーティストの根っこの部分にある衝動から生まれるように、ビジネスにおいても、誰かを喜ばせたい、この人の力になりたいという衝動に従うと好循環が生まれるんです。
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