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ハムレットの思索やリア王の悲劇の表現は得意だが……
生きていくためには、文学の力がどうしたって必要なのだ。言葉で説明できることだけで暮らしていけるうちはいい。しかし、そうはいかないときがある。そういうときは、たいていピンチだ。文学は命綱だと思っている。
しかし、その文学でさえ、痛みについての表現が充実しているとは言えない。
文学における病気の描写を妨げるのは、言葉の貧しさだ。英語は、ハムレットの思索やリア王の悲劇を表現できるものの、悪寒や頭痛を表現する言葉をもたない。
一方だけが発達してしまったのだ。
ヴァージニア・ウルフ『病むことについて』川本静子編訳 みすず書房
それでも、なんとか文学の中からいい表現を探し出し、並べて、さらに新しい表現を生み出すためのヒントにしたいというのが、本書で目指していることのひとつだ。