1月4日から新しい大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)が始まった。主人公は、これまで多く描かれてきた天下人・豊臣秀吉ではなく、弟の豊臣秀長。「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とも言われるほど補佐役として有能だったとされるが、秀吉の陰に隠れ、これまで大きく描かれることのなかった人物を仲野太賀が演じる。
「秀吉の逸話」を兄弟2人で担う
現在第3話までが放送されたところだが、第1話において、小一郎(仲野太賀)が、横川甚内(勝村政信)を躊躇なく殺めた兄・藤吉郎(池松壮亮)に対して畏怖を覚える場面や、第2話において、村が野盗に何度も襲われ、村人たちの命が理不尽に奪われていく姿を目の当たりにし慟哭する場面など、「天下人」としての天賦の才を持って生まれてきた秀吉(藤吉郎)ではなく、一百姓として生きる「普通」の感覚を持った秀長(小一郎)の視点から戦国の世を見つめようとする本作の試みが見て取れて面白い。
また、第3話でかの有名な「草履取り」のエピソード(寒い時期に藤吉郎が信長の草履を懐で温めて出したことから、信長に気に入られたという逸話)が描かれたが、実際の逸話とは大分様子が異なり、藤吉郎が、信長(小栗旬)の草履を、「仇」である織田家臣・城戸小左衛門(加治将樹)の草履だと勘違いし盗もうとしていたのを誤魔化すための苦肉の策として描かれた。
その場面で何より興味深いのは、小一郎と藤吉郎が片方ずつ自分の懐から信長の草履を出すことだ。それはまるで本作においては「秀吉の逸話」を兄弟2人で担っていることを示しているようではないか。
また、藤吉郎・小一郎兄弟の関係と対になるように、信長と市(宮崎あおい)兄妹の関係を、極めて対等で「お互いのことを分かりたくなくても分かってしまうことがある不思議な関係」として描いていることも本作の印象的な一面で、どこか分身のようにも感じさせる「きょうだい」の描き方を通して、新たな豊臣秀吉像が生まれることが期待できる。
