悠仁さまが思う、トンボの一番の魅力
このように、小さい頃からトンボを愛する悠仁さまの近くには、悠仁さまを応援してやまない父親や母親、それに姉という、家族の存在があった。
そして、成年を迎え、大人になった悠仁さまは、昨年3月、初めての記者会見で、トンボの魅力について次のように説明している。
「トンボは、体の色や姿の美しさ、多種多様な環境に生息し、環境指標にもなること、そしてトンボの翅をプロペラに応用できるように、バイオミミクリーという分野に活用できることなどの魅力があると思います。トンボは身近な昆虫でありながら、まだ解明されていない部分もあり、新たな知見を得ることができたり、トンボの分野から、それ以外の分野につなげることができたりするところも、魅力であると考えています」
「トンボの翅をプロペラに応用できる」と、悠仁さまが触れているように、「バイオミミクリー」とは、生物の形や機能などを模倣して、新しい技術や製品開発などに応用する考え方らしい。しかし、何と言ってもトンボの一番の魅力はその姿形にあるのだろう。今回の歌に描写されているように、マルタンヤンマ(雄)のコバルトブルーに輝く複眼や体に、悠仁さまがすっかり魅せられてしまった、ということだろう。
「トンボを観察していますと、気がついたら…」成年会見で語っていたこと
「長所は興味のあることを徹底して追求することができるところだと思います。言い換えると心惹かれるものに対して、没頭できるということです。例えば、夏の休日に、お昼過ぎから、林の中や池の周りでトンボを観察していますと、気がついたら日が暮れてしまっていたということもよくありました」
さらに、この記者会見で悠仁さまは、このように夏の黄昏時、夢中になってトンボを追いかけた自分自身の姿を紹介している。悠仁さまの歌を読んで、筆者がまっさきに思い出したのは、この発言であった。トンボを見て、ワクワクと胸が弾んだ体験を今回、短歌という一つの文学作品として、見事に昇華させたのだと言えよう。
悠仁さまの“歌会始の儀デビュー”に、その成長を近くで見守ってきた家族はもちろんのこと、多くの国民もまた、深い感慨を覚えたことだろう。

