レアアース利権とも関係が…
——今回、林さんの渡航や台湾人の釈放に協力してくれたカレン民族解放軍、すなわち現地の軍閥のKNLAですが、ちょっとおもしろい話があるとか?
林 はい。あながち日本とも無関係じゃありません。レアアースやレアメタル関連の話です。
——レアアースは、中国が世界の産出シェアの7割を握っていて、最近は外交カードに使っていますよね。日本に対して売らないとか。
林 ええ。実のところ、中国産とされているレアアースの約60%は、実はミャンマー産です(注:この数字は林氏による。ただし中国がミャンマー側の軍閥から、内戦後の2021年~2024年の4年間で数十億ドル規模のレアアースを運び込んでいることはドイツや台湾のメディアが報じている)。しかも、これらの地下資源は国軍側の支配地ではなく、反政府系の軍閥支配地で採掘されています。
以前は中国に売るしか選択肢がありませんでしたが、中国との関係が変化したので、彼らは他国に売りたいと考えています。今、新しい輸送路を開発中で、ミャンマー北部からインドへ送るルートなどが検討されています。仮に日本や台湾がこれを押さえることができれば、地政学的に大きな変化が起きるでしょう。ただ、台湾にはレアアースを精製処理する能力はありませんから……。日本の技術に期待したいんですが。
◆◆◆
林秉宥の話は非常に興味深いものだった。彼の運とバイタリティに敬意を表したい。さておき、最後のレアアースやレアメタルについては、もうすこし正確な解説が必要だろう。筆者が調べてみたところ、中国が活発に「レアアース」を採掘しているのは、中国国境地帯のシャン州やカチン州(本文中のカレン州とは別の州)。これらの地域にも園区は存在するのだが、KNLAとは別の軍閥(ワ州連合軍など)が支配する地域の話だ。
ただし、調べてみるとKNLAが支配するカレン州も「レアメタル」のアンチモンは採掘可能。このアンチモンも中国が世界シェアの半分を握り、輸出規制をおこなっている。
特殊詐欺を止めるためにミャンマーの軍閥からレアアースやレアメタルを買う……というのは、なかなか壮大なアイディアだ。もっとも、逆に言えばそのくらいのことをしないと、内戦下で無法地帯状態になっているミャンマーの特殊詐欺拠点は、なかなか潰れないとも言えるのである。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。
