“3.5次審査”という予定になかった選考フローを特例で作り、課題曲まで与える特別扱いは他の候補者や視聴者から「フェアではない」と反感を買ってもおかしくない。それでもちゃんみなはギリギリで落とした1人に向き合うために、迷わず仕組みの方を変えた。
ちなみに特別課題を与えられた候補者は見事なパフォーマンスを披露して4次審査に進み、最終的にHANAのメンバーとしてデビューを果たしている。
実は『No No Girls』のオーディション期間は、ちゃんみなの妊娠期間と重なっており、インタビューなどでちゃんみなは妊娠期間に精神状態が不安定だったと明かしている。
「やればやるほど私の体力や精神もすり減っていくし、目の前では女の子たちが泣いているから、とても平常心ではいられなかったです。しかも妊娠中だったからホルモンバランスも良くなくて……」
「審査する側が泣いちゃだめですよね」
だが番組中のちゃんみなは、常に安定しているように見えた。本人が「ギリギリの状態」と語る精神状態の中でも、オーディションでは絶対に泣かないようにしていたという。その理由は「審査する側が泣いちゃだめですよね。いちばん泣きたいのは審査されている側なんですから」というもの。
どれほど共感的な姿勢を示しても、オーディション番組において選ぶ側は“強者”であり、企画の主催者も兼ねているちゃんみなは現場において圧倒的な権力者だ。
候補者たちと1人の人間として向き合いながらも、決して関係が対等ではないことを意識し、自分の立場で感情を爆発させることがいかに周りを委縮させるかを熟知した行動である。
紅白でいきなりちゃんみなを見た人にとってはその強い印象に動揺する人も多かったかもしれないが、実は、その強さは、自身の悲しい過去の経験や、自身が大変なときも候補者たちを第一に考えて救ってきた経験に立脚する、根拠のある強さなのである。




