番組最大の名場面と言われるのが、自己を卑下するオーディション参加者のCHIKAに対して「いい加減にしろ」と叱責するシーンだ。ちゃんみなは「いい加減にしろ」と2度繰り返した後、「自信のない感じはもうここまでだよ。過去のCHIKAを称えて欲しいんです。(中略)中指立てちゃだめ、自分の過去に」と続ける。
『No No Girls』はコンセプトとして通常のアイドルオーディションでは“選ばれなかった”候補者が多く参加しており、「自信がない」「私なんて」と口にする候補者も多かった。そしてちゃんみな自身も、オーディション初期はその言葉に共感を見せている。
「理想の上司」と呼ばれる寄り添いとスパルタの絶妙なバランス
しかし選考が進みいよいよデビューメンバーを選ぶ段階が近づいたところで、最後まで自信が持てないなら選べないと突き放した。一方で、この言葉は、相手の過去を最大限称えた言葉でもある。
“アドバイスのフリをした叱責”は世の中に溢れているが、ちゃんみなは“一瞬叱責に見える親身なアドバイス”を他の候補者にも次々と繰り出していく。
この寄り添いとスパルタの絶妙なバランスが「理想の上司」と言われる所以だ。
「Z世代を叱るとパワハラ扱いされるから何も言えない」と腰が引ける中高年も多いが、信頼関係を築いたうえで、本当に自分のために言っていることが伝わればスパルタは成長のためにむしろ必要とされているのだ。
言葉自体は一瞬厳しく聞こえても、そこに込められた心が真に相手のことを考えていれば、人は動くのである。その後、CHIKAは見事メンバー入り。結果発表時のちゃんみなは「CHIKAをこれまで逃した方々にも『ありがとうございます』と伝えたい」とコメント。これも、落ちた過去まで全肯定する、寛大な言葉である。
また、ちゃんみなのオーディション番組についての思想が際立っていたのが“3.5次審査”の存在である。
ちゃんみなは3次審査を経て20名を選出したあとに、ギリギリで落とした候補者1名に対して「自分の直感が正しければラップの才能がある」と特別に課題曲を与え、3.5次審査を行った。
オーディション番組であり、最終的にデビュー人数には限度がある以上、合格と落選の線は必ずどこかに引かれる。しかしちゃんみなは、「世の中に選ばれてこなかった」という負い目を持つ女性たちに「私は落とすためではなく、才能を引き出して受からせる選考をしている」ことを行動で示したのだ。




