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特集集まれ「インターネット老人会」

初期インターネット時代に出会った「ポンコツレシピ」と「本物の変態」

初期インターネット時代に出会った「ポンコツレシピ」と「本物の変態」

あるいは太平洋をまたいだピンポンダッシュのこととか

2018/08/14
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 はじめてインターネットに触れたのが1993年、自宅でインターネットに繋いだのが1994年だった。

 当時はただインターネットにつながっていることが面白かった。この自宅の電話線がアメリカのコンピュータにつながっている! と思うだけで興奮した。興奮のあまり家から出る電話線を眺めたこともあった。ただの黒いケーブルだった。

3行レシピの「3.お米にのせて食べる。」の雑さ

 画像が入るウェブサイトの前に、Gopherという文字だけの情報サービスがあった。Gopherは大学図書館の蔵書情報などが多かったが、たまに料理のレシピなどの情報を載せているところもあった。

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 日本料理のレシピを載せている英語のサーバがあったので見ていたら、どの料理も3行で説明してあった。

1.鶏肉を煮る 2.卵を入れる 3.お米にのせて食べる。

1.牛肉とじゃがいもを煮る 2.醤油をいれる 3.お米にのせて食べる。

 雑な上に最後の1行が全部「お米にのせて食べる」なのだ(2つ目はたぶん肉じゃが)。どこから突っ込んでいいのかわからないポンコツ情報に興奮した。

©iStock.com

 かと思えば僕しか知らないと思っていたマイナーなバンドの詳細なディスコグラフィ(海賊版まで載ってる)を発見して、世界には仲間がいることに感激したこともあった。

 Gopherなど海外のサーバにつなぐにはtelnetという文字だけのパソコン通信のような画面で、サーバのアドレスを指定する。そこでアカウントを入力するのだが、外部に開放しているサーバではそこでguestと入力すると入れることがあった。

 それが面白くて、NASAやホワイトハウスにつないでは guestで入れるか試していた。ホワイトハウスのサーバがゲストで入れるわけないのだが、入口まで行けたことがおもしろかった。太平洋をまたいだピンポンダッシュである。