次の瞬間、場面はホテルに切り替わる。そこでは文菜が、恋人がいる2人が互いにダメだとわかりつつ惹かれ合い、ホテルに行くという“小説”をタブレットで読み上げる。その文章は、小説家である相手の男性が書いたもので、文章の中の2人はホテルに行くが、性的なことが起きなかったと書かれている。

 しかし読み終えた文菜は「嘘じゃん。したじゃん、キス」と指摘。男はフィクションだからとごまかすが、それに対して文菜は男を小突き、馬乗りになって両頬を強くつねって笑う。丁寧語とぶっきらぼうな言葉の混在、荒っぽいスキンシップ。その光景は、直接的な性描写よりもよほど生々しく、いやらしい。

彼氏に対しては常に「追われる立場」を維持して余裕を見せる 番組公式インスタグラムより

 しかも次の場面では、文菜はゆきおの洗濯物を干している。交際は今も続いている状態で、別の男性とホテルへ行ったことが示される。

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 媚びるわけでも、誘惑するわけでもない。低体温でどこか気怠そうな態度のまま、他者との距離が異様に近く、性のハードルが低い。その「サブカル的でどエロい」質感が、杉咲花のあまりに巧みな芝居によって、観る者の心をざわつかせ、不穏な感情を与える。

 そこに、清潔で誠実という杉咲のパブリックイメージとのギャップも相まって、「嫌いになりそう」「もう見られない」と感じる視聴者が続出したのだ。

「ほら行こう、ホテル」

 だが、第2話になると文菜の輪郭は変わり始める。行きつけの喫茶店の男子店員と恋愛トークをするなかで、自身と恋人の関係について「余裕がある感じがむかついた」「そんな恋愛、楽しいですか」と指摘され、ブチ切れる。

杉咲花がめずらしく感情を露わにする喫茶店のシーン 番組公式インスタグラムより

 かと思えば恋人の誘いを断り、自分に好意を寄せていることがわかっているバイト先の先輩(岡山天音)と会う。岡山の失恋話を長々と聞いてダメ出しした後に、「ほら行こう、ホテル」と面倒くさそうに言う。岡山は文菜を大切に思うからこそ行為には至らず、おどけて笑いあってその日は別れる。