例えば、1月半ばが締め切りの仕事があると、田中さんは「もしものことがあるから」と、年末のうちに仕上げるよう部下に指示を出します。

「部下の仕事が遅れるかもしれない」
「出来上がったもののクオリティが低いかもしれない」
「仕事が遅れて取引先に迷惑をかけたらどうしよう」

こうした不安が頭をもたげると、田中さんは居ても立ってもいられなくなります。その結果、マイクロマネジメントが始まります。

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田中「あの件どうなった? まさかまだ手をつけてないわけじゃないよね。進捗を細かく報告して」
部下「あ、はい。今は骨子を作っているところで……」
田中「骨子ができたらすぐ見せて。僕がチェックするから勝手に進めないで」

1日に何度も進捗を確認し、ささいなメールの文面まで修正を入れる。部下が考えたプランに対しても、「ここがリスクだ」「これでは不十分だ」と、自分のやり方(=自分が安心できるやり方)を強要してしまいます。

つまり、こうした「心配性で仕事熱心」なタイプの人が管理職になると、マイクロマネジメントをしがちになり、結果的に自分の仕事を増やし、ストレスも増やしてしまうのです。

自分で部下の成長を止めている

でも、こうした上司の態度に対し、部下たちはどう思うでしょうか。

「部長は自分のやり方以外の仕事をひどく嫌う。下手に自分たちで判断して怒られるより、指示を待っていた方が無駄な労力を使わずにすむ」

結果、部下はどんどん受け身になり、自分では何も判断しなくなります。田中さんのデスクには、「部長、これどうしましょう?」「確認お願いします」と、本来部下が処理すべき案件までが山のように積まれていきます。

田中さんは「部下が全然育たない」「自分が全部見ないと回らない」と嘆きながら、ますます負担を抱え込みます。そして休み明けの1月のロケットスタートで蓄積した疲労と、膨大な業務量、そして「自分が支えなければ」というプレッシャーにより、2月には心身ともに疲弊しきってしまうのです。