「意外と大丈夫だった」を体験する

締め切り当日。提出された資料は、田中さんが自分で作るものとは構成が少し異なっていました。しかし、要点は押さえられており、顧客への提案としては十分なレベル(80点)でした。致命的なミスも、崩壊もありませんでした。

田中「なんだ、自分がつきっきりにならなくても、彼らはちゃんとできるじゃないか」

田中さんは、肩の荷が下りるような感覚を覚えました。

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こうして「最悪の事態」が起きないことを体験(実験)することで、田中さんの過度な不安は自然と減っていきました。

さらに副次的な効果もありました。部下たちも「信頼してもらえた」と感じ、責任感を持ってのびやかに仕事をするようになったのです。チームの雰囲気も明るくなり、田中さんに相談(承認伺いではなく、建設的な相談)に来る回数も増えました。

部長自身の不安も自然に減っていくし、部下も信頼してもらえて自分の責任でのびやかに仕事ができる。まさに一石二鳥の効果が生まれたのです。

二月病を防ぎ、強いチームを作る

「二月病」の背後には、真面目さゆえの不安と、その不安を解消しようとして逆効果になってしまう心理メカニズムが隠れていることがあります。

田中さんのように、良かれと思ってやっていることが、実は自分を苦しめる「安全行動」になっていないか、一度振り返ってみてください。もし「自分がいないと回らない」と思い込んでいる業務があれば、それは「行動実験」のチャンスかもしれません。小さな案件からで構いません。「あえて手放す」実験をしてみることで、案外、世界は回っていくことに気づけるはずです。

春にはゴールデンウィークもありますし、今年のシルバーウィークもかなり長いので、同じことが起きそうです。

大型連休の前には、自分の不安を点検してみることをおすすめします。自分の不安をコントロールし、部下を信じて任せること。それが、上司の「二月病」を防ぎ、強いチームを作る一番の近道なのです。