「真犯人は別にいる」――懲役100年という判決から一転、18歳女性はなぜ無罪となったのか。裁判所が退け続けた無実の訴え、世論の後押し、そして最後に浮上した“決定的証拠”とは? 新刊『世界で起きた恐怖の冤罪ミステリー35』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

写真はイメージ ©getty

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世間の声に耳を傾けなかった裁判所

 2006年10月6日、控訴審判決公判が開かれ、第一級殺人罪については無罪が言い渡されたものの、新たに過失致死罪に問われ、13~45年の懲役刑が宣告される。ロバトはこの判決にも納得せず、「自分は完全に無罪である」と強く主張、その後何度も上訴を試みる。が、訴えはそのたびに退けられた一方、メディアがこの裁判を否定的に報道し続けたことで、世論はロバト無罪に傾き、再審を求める署名活動が積極的に行われるようになる。

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 しかし、裁判所は世間の声に耳を傾けなかった。最大の理由は、ロバトが被害者の死亡推定時刻に現場にいなかったことを証明する決定的な証拠がなかったからだ。

 実は、法医学者は当初、被害者の死亡時刻は「遺体発見の1~12時間前」、つまり7月8日の午前10時15分~21時15分と推定していた。これが正しければロバトのアリバイは、家族や近隣住民の証言から確実に証明できる。しかし、前述のとおり、検察は死亡時刻を「遺体発見の1~24時間前」に変更し、具体的には午前4時ごろと指摘。

 ロバトが7月7日の深夜に自宅から車で3時間近くをかけてラスベガスに向かい殺害を実行した後、午前8時までには自宅に戻り何事もなかったかのように1日を過ごしたものと主張していた。