顔はボコボコ、生殖器は切断――ラスベガスで見つかった「ナゾの遺体」。捜査線上に浮かんだのは、わずか18歳の女性だった。決定的証拠がないまま逮捕されても、彼女は「自分は無実である」と否定し続ける。

 だが、その主張は司法に踏みにじられ、人生を狂わせる“さらなる悲劇”が待っていた。海外で実際に起きた冤罪事件の記録を、新刊『世界で起きた恐怖の冤罪ミステリー35』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む

写真はイメージ ©getty

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生殖器が切断された「ナゾの遺体」の正体は…

 2001年7月8日22時15分ごろ、米ネバダ州ラスベガス大通り沿いの銀行ビルのゴミ箱脇で、ホームレス男性の殺害遺体が発見された。

 遺体は極めて残虐な状態で、頭蓋骨に亀裂が入り、数本の歯が欠損、顔面には複数の殴打痕、さらには陰茎が完全に切断されていた。通報を受けたラスベガス警察は直ちに捜査を開始したが、被害者が身分を証明するものを所持していなかったうえ、普段関わりのある者も皆無で、身元の特定は困難を極めた。

 手がかりを求めて広く情報提供を呼びかけるなか、事件発生から1週間後、警察にパーカーという女性から電話がかかってくる。彼女によれば、遺体の主はデュラン・ベイリー(当時44歳)という男性で、数週間ほど前ベイリーから性的暴行を受けたうえ、自宅に押し入られそうになり、「殺すぞ!」と脅されたそうだ。さらに、パーカーはベイリーに襲われたのは自分以外にもいるはずだという。ということは、その被害者が彼を惨殺したのか。生殖器が切断された点からも、警察は怨恨の線で捜査を進める。

 7月20日、事件現場から北に約270キロ離れたネバダ州のパナカという田舎町の住民から新たな情報が寄せられる。なんでも、同じ町に住む当時18歳の女性キルスティン・ロバトがホームレスを殺害した犯人かもしれないというのだ。