そこで、僕はIT部門の人たちに対して、「一緒にありがとうとお礼を言われる存在になりましょう」といって、そのひとつの方法として、自分たちの施策の事例が雑誌や新聞に載ることを目指したのです。実際、僕がグループウェア刷新案件でカゴメ株式会社と関わった事例をはじめ、メディアでの露出を多数成功させました。
要するに、これまで光があたらなかった人たちに光をあて、社内外に「ドヤれる(自慢できる)」ような状態をつくったのです。
ハッピーに動ける環境をつくる
IT部門は象徴的な例ですが、他にも事務・総務部門や経理部門、カスタマーサポート部門など、目立たないけれどもエッセンシャルな(必要不可欠な)職種は世の中にたくさんあります。そんな社内外の「シャドウ・ワーク」に光をあてることで、それらの組織やチームは自信を持って動きやすくなるのです。
これはまさに、ビジネスの現場における「推し活」です。
歌手やアイドルだって、デビューした頃は握手会に数人しか来ないような地点から、ファンが熱心に推すことで認知が広がり、アリーナを満席にする存在に成長していきますよね。
ビジネスだって同様です。これまで光があたらず、ともすれば文句ばかり言われる部門の人たちを、みんなから「ありがとう」と感謝される立場に押し上げる。それによって、彼ら彼女らがより主体的に、ハッピーに動ける環境をつくることができるのです。
シャドウ・ワークは、脚光をあびがちなセールス部門やマーケティング部門、経営企画部門などにも存在します。これらの部門は社内外からの注目度は高いものの、チーム全員がそうとは限りません。地道な部分を受け持つ中堅や若手社員となると、どれだけ陰で頑張っていても正当に評価されず、報われなさを感じて転職を考えてしまう要因にもなります。
僕がいたマイクロソフトでは、注目されにくい仕事をする「縁の下の力持ち」に光をあて、表に出にくい貢献をいかに発見し、評価するかがマネージャーの手腕(義務・役割)とみなされていました。特に、サティア・ナデラがCEOに就任して以降、成果主義一辺倒ではなく、「協働」「他者への貢献」「チームでの成果」などが評価軸に含まれるようになったのです。
